糖尿病患者の寿命を決めるのは心筋梗塞と脳卒中
軽度の肥満に伴う血糖、血圧、中性脂肪上昇が「合わせ技」で影響
宇津貴史=医学リポーター
糖尿病の合併症といえば「3大合併症」を思い浮かべる人が多いかもしれない。網膜症(目のかすみ、失明)と腎症(尿が出なくなる、透析)、神経障害(手足のしびれなど)だ。しかし現代の2型糖尿病(以下、糖尿病)では、それにも増して心筋梗塞や脳卒中への注意が必要となる。発症リスクが著しく高くなっているからだ。背景には、小さな異常の「合わせ技」があるという。専門家に伺った。

糖尿病の患者では、糖尿病のない人と比べ、心筋梗塞などの虚血性心疾患(*1)や脳梗塞の発生率が極めて高い。
福岡県久山町住民のデータ(久山町研究)を見ると、糖尿病のない人に比べ糖尿病患者では、脳梗塞は2倍から4倍、虚血性心疾患では2.5倍から5倍、発生率が高くなっていた(図1)。
代田氏は言う。
「私たちの施設でも、心筋梗塞患者に占める糖尿病の割合は急速に大きくなっています。心筋梗塞で搬入されてくる患者の約4割は糖尿病です。さらに、糖尿病と診断されていない残り6割も、調べてみると半数近くで糖尿病が見つかります」。
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