ケガ予防&疲れを引きずらない 足腰ストレッチ・メンテナンス術
【カリスマトレーナーが動画で解説】緊張した筋肉をほぐして睡眠時の疲労回復を促進
ベッドで力を入れて脱力するだけの簡単エクササイズ
松尾直俊=フィットネスライター
ランニングやウォーキング、インターバル速歩、ハイキングなどの運動を楽しむにはちょうど良い季節になった。でも、走り終わった後や歩きすぎた後のケアを忘れていると、思わぬところに痛みが出たり、ケガの原因になったりする。青山学院大学陸上競技部を箱根駅伝2連覇に導いた功労者の一人である、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんの指導を受け、ランニングや歩きすぎた後の疲労回復やケガ防止に効くストレッチやエクササイズを3回にわたってお伝えする特集企画。
1回目の「ケガ予防には運動前より運動後のストレッチが効く!」でお伝えした静的ストレッチとアイシング、2回目の「関節に細かな振動を与えて筋肉疲労から素早く回復」で紹介したセルフモビライゼーションのノウハウに続いて、3回目の今回は、筋肉の疲労を回復させて質の高い睡眠につなげる『筋弛緩法』のメソッドをお届けする。

前回も少し触れたが、ランニングやウォーキングによる負荷で小さな損傷を負った筋肉は、体を動かすことがない睡眠中に最も修復が進む。しかし、精神的にも肉体的にも緊張状態が続いていると、なかなか眠りにつけないこともある。さらに、緊張が持続していることを自分で気がつかないこともある。そこで、外的な刺激を与えることによって筋肉を緩め、緊張状態を解くことが必要なのだ。
仕事で疲れている時の入眠対策にも
「脱力したり筋肉を弛緩させたりすることは、実際にやってみると意外と難しいものです。また、筋肉が緊張しているのか、完全に弛緩できているのかは、脱力した経験がないと分かりにくいのです。走った後の疲労を取り除いて、筋肉の回復を促すには質の高い睡眠を取ることが一番重要ですが、筋肉が緊張していては良い睡眠が取れません。そこで前回解説したセルフモビライゼーションに加えて、今回の筋弛緩法で筋肉の緊張を緩めてあげると、入眠時間も短くなり、深く質の高い睡眠が取れるようになります」(中野さん)
「筋弛緩法の具体的なやり方は、全力の6割程度の力をグッと入れて、一気に抜くだけです。今回は肩から首にかけてと、手と腕、そして肩から全身を緩める方法を紹介します。ベッドや布団に横になった状態で行えるので、就寝前に実行すると緊張状態を解いてスムーズに睡眠に入っていけると思います。また、走った後だけでなく、普段から寝付きが悪い人がやってもいいでしょう」(中野さん)
走ったり、運動したりした後だけではなく、仕事や家事で疲れている時の就寝前に行えば、熟睡しやすくなって疲労回復にも役立つのだ。
「青学の選手達も筋弛緩法とセルフモビライゼーションを実践しています。就寝前に筋肉を緩めると、その間に余計なことを考えずにすむという効果もあります。何か悩みがあると気持ちがその一点に向いてしまい、眠れなくなることがあります。そんな時に筋弛緩法を行うと、力を抜くことに意識が向くので余計なことを考えなくなるのです。そのようにして少し意識を変えると、睡眠の質が大きく向上します」(中野さん)
しかし、この筋弛緩法をマスターするには若干の練習が必要になる。脱力の仕方や、力の入れ具合、間隔の置き方などが上手になってくると、効果を実感できるようになるという。次ページでは、具体的なノウハウを動画で詳しく紹介しよう。