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「即席ラーメン」の新たな挑戦

エースコック社長「体の半分は即席麺」でも健康。その秘けつは?

<特別編>危機を乗り越えてきた即席麺の歴史~エースコック 村岡寛社長インタビュー

 二村高史=フリーライター

即席麺業界の中にあって、ユニークな商品開発で注目されているのが大阪に本社を置くエースコック。同社は、業界初の「即席ワンタンメン」、「わかめラーメン」、大盛りカップ麺「スーパーカップ」などを次々と世に送り出してきた。2001年には低カロリーの「スープはるさめ」で女性層をつかんだほか、最近では減塩のカップ麺に積極的に取り組んでいる。特集の最終回では、村岡寛社長に即席麺の健康志向トレンドや将来について伺った。さらに「私の体の半分は即席麺でできている」と話す村岡社長ご自身の健康法も紹介する。

特集では、健康志向の即席麺について各メーカーの担当者に話をうかがいました。以前は「即席麺はあまり体によくない」という印象がありましたが、各社がさまざまな健康志向の即席麺を開発し、徐々に状況は変わりつつあります。長くこの業界を見てきた村岡社長は、健康志向の動きをどう捉えているのでしょうか。

村岡さん そうですね。確かに、「即席麺はあまり体によくない」というイメージが定着してしまっているのは否定できません。今でこそ、各社が熱心に取り組むようになりましたが、実はすでに今から約30年前の1987年ごろに、こうしたイメージを払拭しようという動きがあったのです。

村岡 寛(むらおか・ひろし)さん。エースコック社長。1950年大阪生まれ。1973年関西学院大学卒業、1975年エースコック入社。1990年専務取締役マーケティング本部長、1994年に代表取締役社長に就任(撮影:水野浩志)。

 その当時というのは、袋麺もカップ麺も売り上げが頭打ちになった時期でもありました。そこで、なぜ成長が止まったのか、業界全体で大がかりな調査をしたところ、そこで出てきたのが即席麺に対する非健康的なイメージだったのです。それは、いくつかのポイントがありました。

 1つ目は、防腐剤が入っていると主婦を中心に誤解されたこと。当時の調査で7割の主婦がそう考えていたといいます。もしかすると、今でもそう思っている人がいるかもしれません。

 しかし、即席麺が腐らないのは防腐剤が入っているからではなく水分がないからです。また、麺には天然の大豆、ゴマ由来のビタミンEを添加してありますので油の酸化もゆるやかです。賞味期限を設定してありますが、これは添えてある乾燥野菜がおいしくなくなるからであって、麺がだめになるわけではないのです。

 2つ目は、カロリーが高いという誤解です。でも、ランチの一般的なメニューとして、チャーハンやスパゲティなら700kcal以上、とんかつ定食は1000kcalにもなります。それに対してカップ麺なら300kcalくらいで、容量が多いスーパーカップでも500kcal程度です。決してカロリーが高いことはないのです。

 実は、この調査の前に、お客様の誤解を避けるため、当社ではパッケージに「合成添加物不使用」という表示をしたことがあります。ところが、役所から「使っているものを表示するのはよいが、使っていないことを表示するのは違反である」とクレームが付いてしまいました。また、当社だけそうした表示をすると、「ほかのメーカーは使っているのではないか」と誤解を与える恐れもあるということで、業界で足並み揃えて取り組もうということになったのです。

 調査結果を分析し、それ以後は栄養士さんの助けも借りて、広く啓発活動を行うことになって今日に至っています。徐々に「即席麺は健康に悪い」という誤解も解けていきましたが、まだまだ一部には根強く誤解が残っていると言わざるをえません

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