これでスープを飲み干せる!「ストレスのない減塩」を実現した技術とは?
第4回 エースコック「だしの旨みで減塩」、東洋水産「マルちゃん ホットヌードル 塩分オフ」
二村高史=フリーライター
「カップ麺で気になること」のトップは「塩分」
「マルちゃん正麺」で大ヒットした東洋水産も、「減塩」を健康志向カップラーメンの中心の一つに位置付けている。今年3月に「マルちゃん ホットヌードル」に「塩分オフ」を追加した。健康志向として減塩を選んだ理由やその開発ストーリーを、加工食品事業本部 即席麺部 商品開発1課の鈴木梨恵さんにうかがった。
東洋水産では「マルちゃん正麺」というノンフライ麺の大ヒット商品がありますが、ノンフライでカロリー控えめにもかかわらず、健康志向をうたっていませんね。その一方で、2016年になって減塩の商品をラインナップに加えています。
鈴木さん 即席めんを買われるお客さまは、やはりおいしさを重要視して商品を選びます。「マルちゃん正麺」は、生めんのようなおいしさ、品質の高さが大きな商品特長となっていましたので、あえて健康を打ち出すことはしませんでした。
そもそも即席めんで健康が注目されたのは、比較的最近になってからのことです。メーカー側では過去からいろいろな取り組みをしてきましたが、スーパーなどの販売店が興味を持ち、棚割りの際に「健康関連の商品はないのですか?」と聞かれるようになったのは、ここ1、2年くらいのことです。高齢化や健康志向の高まりに対応した商品ラインナップに注目して、そこを他店にない強みにしていこうという小売店側の動きです。

そうしたニーズに応えるものとして、健康志向を前面に打ち出したのが、今年3月に発売した塩分オフのシリーズです。既存ブランドの「ホットヌードル」「焼そば名人」に、塩分を抑えた商品を追加しました。従来品と比較して塩分を30%抑えた「マルちゃん ホットヌードル 塩分オフ」(以下「ホットヌードル 塩分オフ」)は、「旨みしょうゆ味」と「旨みしお味」の2種類があり、スープをすべて飲み干しても食塩相当量が2.8gです。
「焼そば名人 塩分オフ ソース焼そば」は、業界でも珍しいカップ焼きそばの減塩商品です。食塩相当量2.5gで、従来品に比べて25%オフになっています。
- 次ページ
- 5年前から減塩に取り組む