これでスープを飲み干せる!「ストレスのない減塩」を実現した技術とは?
第4回 エースコック「だしの旨みで減塩」、東洋水産「マルちゃん ホットヌードル 塩分オフ」
二村高史=フリーライター
最初25%オフだった減塩が、今は40%オフに
実際に発売した後の評判はどうだったのですか。
兼子さん お客様からは、「減塩とは思えないほどおいしい」という評判を多数いただいています。また、絶え間なくスープの改良を加えており、発売当初は25%減塩でしたが、それが30%となり、現在では40%となりました。
ほかの商品は年に1回リニューアルが一般的ですが、この商品は1年に2回。そのたびにパッケージも変えなくてはならないので、忙しくてうれしい悲鳴を上げています。リニューアルごとに、おいしさも向上しています。実は、当社の営業が、味のプロであるスーパーマーケットのバイヤーさんに、減塩と言わずに試食してもらったことがあります。感想は、「普通においしい」という評価。そこで営業マンが減塩のカップ麺であることを告げると、「えっ!」と驚かれたということがありました。減塩ということを意識しなくても、おいしく食べられることが証明されました。
このシリーズの売上高自体はまだまだ小さいのですが、量販店の売り上げは毎年20%ずつ右肩上がりで伸びています。一般的なカップ麺は、発売から時間が経つと徐々に落ちていくのが普通ですが、この商品はそうではありません。テレビCMなしでこの数字は、私たちも驚いています。
ただし、コンビニやスーパーなどの販売店では、棚に並べてもらうまでが大変です。最近になって、売り上げが伸びて認知度が進んできたので、徐々に棚に並べてもらえるようになりました。
「だしの旨みで減塩」シリーズは、国立循環器病研究センターの「かるしお」認定を取得していますね。

兼子さん 公的機関のお墨付きを得て、プロモーションにつなげたいという気持ちはありましたが、同時に「健康を打ち出してお客様に販売する以上、きちんとしたエビデンスを示したほうがいい」と以前から考えていました。
そんなとき、国立循環器病研究センターが、食生活改善の啓発を目的として2014年に「かるしお認定制度」を開始したという話を耳にしました。これは、企業から申請のあった商品に対して、国立循環器病研究センターが審査をして、基準を満たしている商品に「かるしおマーク」の表示を認めるという制度です。
この審査では、「減塩率30%以上」に加えて、「味がおいしいかどうか」の厳しい官能検査が行われます。「いくら塩分が少なくても、おいしくなくては意味がない」「ストレスのない減塩が大切」というのが、国立循環器病研究センターの考え方であり、私たちも大きく共感するところがありました。
この認定制度に応募したところ、2015年に加工食品の第一号として認定され、商品名も「かるしお認定 だしの旨みで減塩」と改称したのです。
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- 昔は売れなかったが…時代が変わってきた