“こってり”なのに健康志向! メタボ社員が作った「ローカーボ」カップ麺
第3回 明星食品「低糖質麺シリーズ はじめ屋」「ローカーボNoodles」
二村高史=フリーライター
味が同じにできれば、健康にいいものを選んでもらえる
八木さん 健康志向のカップ麺では既に、低カロリー、減塩などが製品化されています。私たちは健康志向商品では後発になりますから、他社と同じことをしていたらシェアは獲得できません。そこで、技術的にはハードルが高いのですが、他社がいまだ取り組んでおらず、ビール系飲料やパン・シリアルなどでお客様の認知が進んでいる「糖質オフ」に注目し、開発を始めました。
市場にはすでに、こんにゃくや豆腐を使って糖質をゼロにしたチルド麺や、こんにゃくで糖質を減らしたカップ麺がありますが、ラーメンならではの小麦粉由来の味や風味、食感を期待している人には、残念ながら満足できるものではなく、あくまでも代替品であって、「本当のラーメンが食べられないから、我慢して選んでいた」という声がありました。
単に糖質を下げることはそれほど難しくありません。しかし、おいしくなくては意味がありませんし、お客様も買ってくださいません。ですから、味を捨ててまで健康を求めることはしませんでした。
巷にあるカップ麺と比べ、味がほぼ同じにできれば、きっと健康にいいものを選んでもらえる──そこから「おいしさそのまま『糖質50%オフ』」という商品コンセプトを考えました。
最初の試作品は、ぼそぼそして紙を噛んでいるようだった
開発は大変だったのでしょうか。
新田さん 開発担当者が一番苦労したのは、糖質の比率を下げつつ、つるつるとした食感とコシのある麺を作ることでした。
糖質を抑えるには、麺の原料である小麦粉に、食物繊維の一種である難消化性のでんぷんをブレンドします。糖質50%オフにするには、理屈からいえば、小麦粉に含まれる糖質の半分を食物繊維に置き換えればいいわけですが、それではちっともおいしくありません。
最初に開発から出てきたサンプルは、麺がぼそぼそしていて、まるで紙のような繊維を噛んでいるような感触でした。
そこで、数種の難消化性でんぷんとその他の材料の組み合わせを変えることで、食感や味を追求していきました。また、麺に含まれる小麦粉以外の成分である植物性タンパク質、植物性油脂などにも着目して、そのバランスもいろいろと試しました。
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