ロカボ、オイルフリー、減塩――大ヒット商品「即席ラーメン」に巻き起こる新たな波
第1回 「体にいいけどおいしくない」を覆せ!―― 食品メーカーの挑戦
二村高史=フリーライター
健康志向の即席ラーメン、これまでの苦戦のワケ
高齢化は確実に進んでいるのに、健康志向の即席ラーメンがこれまでなぜ苦戦していたのか。その理由は大きく2つある。
1つは、「健康にいいものはおいしくないのでは?」という先入観である。砂糖控えめのクッキーやカロリーオフの飲料など、世の中に健康志向の食品はいろいろとあるが、どれも味が今一つというのが多くの人の評価ではないだろうか。「味が薄い=今までと違う=おいしくない」という流れで、先入観が形作られてきたように思う。最近では、十分においしいものも登場しているが、長年染みついた思い込みはなかなか変えられない。
そして、消費者が即席ラーメンに求めているのは「健康よりもおいしさ」だということだ。興味深いことに、飲料などでは少々味が落ちても健康志向の商品を選ぶ人がある程度いるのに、即席ラーメン(とくにカップラーメン)を食べる人は、圧倒的においしさを第一に選んでいたのである。
ようやく花開きつつある健康志向の商品

今回の特集で紹介する、最近の健康志向即席ラーメンは、これまでと何が違うか。それは「おいしさ」だ。健康にいいだけではなく、味が確実に進化したのがポイント。各社ともおいしさを重視して、ダシなどに工夫をしながら開発を重ねてきた結果、今ようやく健康志向の即席ラーメンが徐々に市場に受け入れられ始めてきたのだ。さらに低糖質(ローカーボ)の麺を開発するなど、これまでにない“機能性”を実現した商品も登場している。
実際、筆者や編集部では、今回取り上げる即席ラーメンをほとんどを実際に食べてみた。その結果は、多くが「おいしい」と素直に感じるものだった。実際、あるメーカーは商品のバイヤーに減塩だということを伏せて試食してもらったところ、バイヤーは減塩商品だと気付かなかったこともあるという。