モーションセンサーで体の動きを的確に把握
3つめに苦労した点として、筏井氏は「どんな状態でも追従できるセンサーとアルゴリズム(コンピューターで計算するときの計算方法、やり方)の開発でした」と語る。
「ハイブリッドトレーニングは、おなか周りにある『側腹筋』が伸び始めているときに電気刺激を与えることで、効果的なトレーニングができるというものです。そのためウォーキングやランニングをしている際に、ベストなタイミングで電気信号を与えることが必要になります。そのために重要なのが、タイミングを計るためのセンシングです」(筏井氏)
そこで開発したのが、ベルトの体側(体の真横)部分に装着する「ボディーモーションセンサー」だ。これが骨盤の動きをモニタリングしている。骨盤の動きから側腹筋が伸びているかどうかをチェックし、伸び始めたときに電気信号をかける。しかし、その開発が非常に難しかったと筏井氏は話す。

「走っているとき、歩いているとき、ツイストしているとき、それぞれ一定に動いているわけではないので、その状態をいかにモニタリングするかが困難でした。路面状態によって、さまざまな“ノイズ”も伴ってきます。そこからいかにお客様の動きを正確にとらえるか、そのためのアルゴリズムの開発が困難を極めました」
装着性やメンテナンスのしやすさも追求


4つめに苦労したポイントとして筏井氏が挙げたのが「装着性」だった。
「電極をホールドするため中央部は太くしつつ、それ以外の部分は装着しやすいようにできるだけ細くしたことでブーメラン形状になりました。いろいろなサイズのお客様ができるだけ簡単にアジャストできるように、電極自体にもアジャスト機能が付いています。自分のへそを中心にして位置を調節できるのですが、これも数千人の人体計測データを基に統計的な解析をして位置を決めました。また、1サイズではなかなか調整しきれなかったので、S/M/Lという形で3種類のサイズを用意しています。さらにおなか周りが大きな方に向け、サポーター用延長ベルトも用意しました」(筏井氏)
おなかに巻いて運動するため、装着性だけでなくメンテナンス性、つまり「洗いやすさ」も重要になる。

「数え切れないほど試作して、汗がこもらないような素材を採用しました。運動しながら使うので、サポーターベルトは電極をすべて外して丸洗いできるようになっています。地道な作業ですが、電極の外しやすさと装着のしやすさの調整も難しくて何度も試行錯誤しました」(筏井氏)
- 次ページ
- スマホと連携するモデルなどにも期待