今、“健康家電”が盛り上がりを見せている。日本の人口の高齢化は待ったなしで進んでおり、ミドル以上の健康志向もこれまでになく高まっている。そんな“健康意識層”に向けて、各社が競うように新製品を投入している。そこで本連載では、「健康」をテーマに最新の家電製品の魅力に迫る。初回に登場するのは、「簡単すぎて料理の腕が上がらない」と言われる無水調理鍋だ。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコン――。“家電”はどのメーカーの製品を買っても大した違いはない。そう思っている人が多いかもしれない。確かに、テレビに代表される“黒物家電”は、各社の製品の違いが目立たなくなっている。だが、“白物家電”と呼ばれる生活家電分野は違う。この分野ではここ数年、大きな地殻変動が起こっている。
例えば、「ルンバ」に代表される掃除ロボットはここ数年で一気に各家庭に広まった。10万円超の超高級炊飯器を各社がラインアップするようになったのもここ数年の出来事だ。また、これまでにないユニークな製品も続々と登場している。例えば昨年、バルミューダという家電ベンチャーが出した2万円を超えるトースター「The Toaster」が人気を博したのをご存じの方も多いだろう。
そんな盛り上がりを見せる白物家電で、特に注目なのが「体力維持・増進」や「食生活改善」「ダイエット」「睡眠改善」などさまざまな角度から健康を志向した“健康家電”だ。日本の人口の高齢化は待ったなしで進んでおり、ミドル以上の健康志向も今までになく高まっている。そんな“健康意識層”に向けて、各社が競うようにユニークな製品を続々と投入している。
そこで本連載では、「健康」をテーマに最新の家電製品の魅力に迫っていきたい。
5万円もする鍋が人気、そのワケは?
連載の初回に登場するのがシャープの「ヘルシオ ホットクック」。驚くほど簡単に煮込み調理ができる「無水調理鍋」だ。
健康に気を使っている人の中には、「タジン鍋」などのように水を加えずに調理する「無水調理鍋」を愛用している人もいるのではないだろうか。食材の水分だけで調理できるタジン鍋は、食物の栄養をもらさず摂取できるうえ、油の使用も控えられるなどのメリットもあり、ここ数年人気を得ている。
これを家電で実現し、しかも“無水”だから焦げやすくなるところを、「混ぜながら煮る」ことで焦げずに調理できるのがホットクックの大きなポイント。食材を入れてセットしたら、後は放っておくだけで料理が完成するので、忙しい子育て家庭に優しく、しかも食材の栄養を余さず取れるという健康面でも嬉しいスグレモノだ。
実際、筆者も試したが、ビックリするほどおいしいカレーが、材料を鍋に放り込むだけでできた。ある家電量販店の店員が、「あまりにも簡単なので、料理の腕が上がらないのが難点」と話していたが、それもあながちウソではないと感じている。
このホットクックは実売価格で5万円弱と、決して安くはない。それにもかかわらず、機能性が受け、ホットクックは人気商品となっている。シャープによると、「おかげさまで大変ご好評をいただいており、計画比1.5倍で増産しています」(広報)という。
