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「いきなり運動」が引き起こすトラブルを回避せよ!

「いきなり運動」でケガを防ぐための5つのルール

第3回 ストレッチと筋トレを上手に取り入れて…一番大事なのは「継続」

 塚越小枝子=フリーライター

老化の象徴・大腿四頭筋を鍛える筋トレのススメ

 特に中高年は、加齢とともに衰えやすいももの筋肉(大腿四頭筋・ハムストリング)を鍛える筋力トレーニングも積極的に取り入れたい。関節を動かさないで筋力を強化する「等尺性筋力訓練」であれば、トレーニング中に膝や肘の関節を痛める心配がないので、筋力が落ちている人にもおすすめだ。例えば、仰向けに寝て膝を伸ばしたまま床上20cmくらいに足を上げてキープする「下肢伸展拳上」は、大腿四頭筋が鍛えられる。

等尺性筋力訓練の例
仰向けに寝て膝を伸ばしたまま床上20cmくらいに足を上げて5~10秒キープする。片脚20回ずつ。もの足りなくなったら足首に1~2kgの重り(アンクルウエイト)を装着してもよい。
[画像のクリックで拡大表示]

 このほか、拳を10秒間ぐっと握るだけでも前腕が鍛えられる。片手ずつでも両手でも構わない。10~20回くらい、できれば2セットを目標にやってみよう。

4 無理をせず徐々に“ならし運転”を

 櫻庭さんによると、いきなり運動をしてケガを招くのは、「自分は動けるはず」という過信と、実際の体とのギャップから無理をしてしまうことも大きく影響するという。レジャーなどで軽く体を動かすぶんには、むしろ積極的に勧められるが、“無理”は禁物と覚えておこう。

 「全く動いていなかった車を、いきなりフルスピードで走らせようとは誰も思いませんよね。まずは全体をチェックして、ならし運転をしていくように、運動も無理せず徐々に行ってください」(櫻庭さん)

5 継続することが一番大事

 久しぶりの運動によるトラブルを避けるためには、有酸素運動から少しずつ始めて、運動前後には必ず準備運動やストレッチを取り入れ、さらには簡単な筋力トレーニングで筋力をつけていくことが大事だと紹介してきた。

 それらと同じくらい重要で、最も難しいと思われることがある。それは、「継続すること」だ。

 「私の健康教室で、運動を始めた30人ほどの中高年の人たちをフォローした結果、3カ月後の時点では、運動によって生き甲斐を感じるようになった、と答えた人が多くいました。ところが、半年後に再び調査したところ、残念なことに、運動を継続している人は半分もいませんでした」(櫻庭さん)

 筋力トレーニングも、ついつい、新しいもの、流行のものに飛びつきがちだが、「ごくシンプルなものを、生活の中に無理なく組み込んだ方が継続しやすいでしょう」と櫻庭さん。一念発起して三日坊主で終わるより、テレビを見ながら、あるいは寝る前に布団の上で、など、1日のルーチンの中に取り入れて、細く長く続けていきたいものだ。

 「なぜ運動するかと言えば、自分が楽しいから。または、健康長寿のためでしょう。楽しむためには“無理”は必要ないのです。運動の強度や量の設定を無理しないことはもちろん、天候や体調とも相談しながら、マイペースにやっていきましょう。1日も休まずがんばる必要はまったくありません」(櫻庭さん)

 無理をした結果、ケガやトラブルでつらい思いをしたり、運動を負担に感じて辞めてしまっては本末転倒。まずは自分に合った種目やトレーニング方法を見つけ、楽しみながら、健康な体を手に入れよう。

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(イラスト:つぼいひろき)

櫻庭 景植(さくらば けいしょく)さん
順天堂大学大学院スポーツ医学教授
櫻庭 景植(さくらば けいしょく)さん 1978年順天堂大学医学部卒。同大医学部整形外科講師、同大スポーツ健康科学部スポーツ医学助教授などを経て2002年より現職。日本オリンピック委員会強化スタッフ(スポ―ツドクター)。2007年、2009、2011年世界陸上チームドクターや2012年ロンドンオリンピックチームドクターなどを歴任。専門はスポーツ医学。

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