「いきなり運動」でケガを防ぐための5つのルール
第3回 ストレッチと筋トレを上手に取り入れて…一番大事なのは「継続」
塚越小枝子=フリーライター
2 瞬発系よりも有酸素運動がベター

第1回、第2回でも述べたように、年齢を重ねると、筋肉の中でも、特に速筋(瞬発的に大きな力を発揮する白い筋肉)が衰えやすいため、短距離走やテニス、バレーボール、バドミントン、バスケットボールといった、瞬発系の動きを主とする競技、ジャンプを伴う競技は、運動不足の中高年が始める運動としてはあまり向かない。ウォーキング、ジョギング、水泳に代表される有酸素運動の方が、体を傷めるリスクが少なく、安全に始められる。
これらの有酸素運動を行うときは、主に遅筋(長時間、力を維持する持久力にかかわる赤い筋肉)が使われ、体内の糖や脂肪を燃焼させ、エネルギーをつくり出す。
3 運動前後にストレッチ・日常生活に筋トレを取り入れる
いきなり運動して生じる転倒や筋肉痛などを予防・軽減する効果的な方法は、個人の体や日常生活の状況などにより違ってくる。一般的には、運動前後のストレッチや筋力トレーニングなどが、ある程度有効だという。
「ストレッチは運動前に筋肉の機能や柔軟性を高めて動かしやすくします。運動後には、疲れて硬くなった筋肉をほぐし、疲労回復を助ける効果があります。また、筋力が弱いと骨や関節にかかる負担が大きくなりますので、日常生活で筋力トレーニングを行い、筋力を強化することは、ケガ予防の観点からも意味があります」(櫻庭さん)
ストレッチには動的ストレッチと静的ストレッチがある。
ラジオ体操、ブラジル体操などに代表される動的ストレッチ
動的ストレッチは、多関節を使う、反動をつけた運動のこと。例えば、サッカー選手がよく行っているブラジル体操(ジョギングやスキップをしながら手を大きく振ったり、肩や腰をひねったり、リズミカルに体を動かす体操)や、ラジオ体操などがこれに当たる。以下に紹介する「もも上げ」のほか、軽いジャンプも、動的ストレッチの一例だ(着地したとき腓腹筋が伸ばされる)。