若さの目安はシミ・シワよりも「大腿四頭筋」
第1回 体は、運動しないとどのくらい衰えるの?
塚越小枝子=フリーライター
運動会の親子競技、友人に誘われて久しぶりのテニス…。なにかと体を動かす機会が増える、この季節。気になるメタボ解消のために、一念発起してランニングを始める人もいるかもしれない。だが、長年のブランクがあると、筋肉は衰え、若いころのように体は動かない。本特集では、急に運動したときに見舞われやすいトラブルと、その予防法を解説する。第1回は、加齢による体の衰えを知ることから。
1日寝たきりでいると、寿命は1日縮む

今までほとんど運動していなかった人が、あるいは昔スポーツをやっていた人が久しぶりに運動するとき、ブランクによって体はどのくらい衰えているのだろうか。
2012年ロンドンオリンピックなどでチームドクターを務めた、順天堂大学大学院スポーツ医学教授で整形外科医の櫻庭景植さんは、こう話す。「大雑把にいって、1日寝たきりでまったく動かないでいると、心肺機能(*1)を示す最大酸素摂取量は0.9%低下します(*2)。別の言い方をすると、1日ベッドに寝ていると1日寿命が縮むと思っていいでしょう」。
ただし、これは寝たきりの超初期の話で、その後もずっと同じスピードで心肺機能が低下していくわけではない。とはいえ、運動をしないと心肺機能が低下するのは確か。その結果、ちょっとしたことで疲れやすくなり、いざ運動をしようとしても、すぐにスタミナ切れになってしまう。
*2 Convertino VA:Cardiovascular consequences of bed rest: effect on maximal oxygen uptake. Med Sci Sports Exerc. 1997 Feb;29(2):191-6.
20歳を過ぎると下肢の筋肉は一気に減少していく
一方、運動機能の面で加齢と共に最も衰えるのが、下肢の筋肉だ。約4000人の日本人を対象に、年齢による筋肉量の変化を調べた研究では、20歳を過ぎると、下肢の筋肉量は、上肢や体幹の筋肉よりも早く、そして大きく減少していくことが分かった(図)。筋肉の老化は、まず脚から始まるのだ。
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