しつこい便秘の原因は骨盤のゆがみだった!
骨盤のゆがみと腸の不調の知られざる関係
近藤鈴佳=フリーライター
普段からおなかが張ったり、便秘がちだったり、あるいは逆にお腹を下し気味だったりと、何らかの腸の不安を抱え、“腸活”に励んでいる人は少なくないだろう。それでもなかなか“快腸”とはいかない場合、骨盤のゆがみが影響している可能性がある。
骨盤のゆがみが腸に与える影響と、骨盤のゆがみを正す“腸活エクササイズ”の手法について、便秘外来で有名な小林メディカルクリニック東京の小林暁子院長と、同クリニックと提携し、腸の不調改善のための整体の施術を行っている骨格ケアのスペシャリスト、佐藤守氏と中川隆之氏に話を聞いた。
腸への影響が意外に大きい「骨盤のゆがみ」
日頃から適度に水を飲んだり、3食きちんと食べて腸の働きを整えたり、はたまたヨーグルトなどの発酵食品も積極的に摂ったり…。さらに、毎日の軽い運動はもちろん、冷たいものを摂らない、お腹を冷やさないなど、ほぼ完璧に“腸活”しているにもかかわらず、なかなか腸の悩みが解決しない、という人は意外に多いのではないだろうか。
小林メディカルクリニック東京(東京・溜池山王)の便秘外来にも、「自分で考えられる限りの改善努力はしたけれど、便秘や下痢などの悩みがなかなか解決しないと受診される方はとても多い」と、小林暁子院長は言う。
小林院長によると、腸の不調には便秘一つとっても下記の表に挙げた通り様々なタイプがあり、多くの人がどれか一つではなく、複数のタイプを併せ持っている。
つまり、不調の原因は一つとは限らず、食事、運動、ストレス、睡眠、姿勢、骨格、血行、生まれつきの体形や腸の形、腸の炎症などのうちの複数であることが多いということだ。それが、自己流の腸活では、不調がスッキリ解消しないことが多い理由の一つとなっている。たとえば、本当はストレス軽減が必要なのに、そのケアは一切しないまま食事と運動だけに注力するなどのケースがそれに当たる。
ガス腸タイプ | 腸の形は正常だが、ガスが腸内に貯留している状態。おなかを触ったり、軽く押すだけでも痛みがある。 |
弛緩(しかん)性 タイプ | 腸の動きが悪く、十分にぜん動運動ができていないタイプ。 |
ねじれ腸タイプ | 腸の一部分がねじれてしまうことで、ガスが腸内に貯留し、常におなかが張って苦しく感じる状態。 |
ストレス性タイプ | 睡眠不足や過度の緊張など、強いストレスによって自律神経が乱れ、胃腸機能が低下している状態。 |
直腸拡張タイプ | 肛門付近まで便が送られてきているが、トイレを我慢したり、生活が不規則だったり、骨盤がゆがむなどして肛門括約筋の働きが鈍くなり、直腸壁が拡張している状態。 |
落下腸タイプ | 生まれつきの場合や、筋力低下、骨盤のゆがみ、姿勢の悪さ、猫背などにより、横行結腸の中央が下へ垂れ下がっている状態。 |
むくみ腸タイプ | 大腸が炎症を起こした状態。余分な水分を含んでいる。 |
そして、今挙げたように数多くある腸の不調の原因の中でも、食事や運動ほど腸と結び付けて意識されないわりに、腸への影響が意外に大きいのが「骨盤のゆがみ」だと小林院長は言う。
「本来あるべき状態に骨格が整っていないからと言って、それに包まれている内臓にまで影響が及ぶものか」と疑問に思う人もいるかもしれないが、実際のところどうなのか。