「だるい、重い、しんどい」はたんぱく質不足が原因だった
『うつ消しごはん』の著者・藤川徳美さんに聞く(第1回)
柳本操=ライター
ベストセラー『うつ消しごはん』の著者である精神科医の藤川徳美さんは、近年増加するうつ病やうつ病予備群の人たちの不調の原因は、日々の食事・栄養摂取が偏った「質的栄養失調」にある、という。うつっぽい、とまでいかなくても、日々「だるい、重い、しんどい」を感じている人は、たんぱく質を補い、糖質過多を改めることによって元気になっていくケースが多い、と藤川さんは話す。食事でとる栄養が精神面にどのように影響するのか。何をどの程度食べればいいのか。3000人の患者を救ってきた藤川さんに聞いた。

藤川さんのご専門である精神疾患患者数は近年大幅に増加し、統計によると、400万人近くになっています。この統計は実際に医療機関を受診した方の数ですから、病気となる手前の予備群の方は相当数いることが見込まれます。 なかでもうつ病は、近年ぐっと増加しているようですね。眠れなくなり、仕事や家事などの日常生活が困難になるなど、本人にとっても周囲にとっても、苦しい病気です。うつ病という段階までいかなくても、「やる気が出ない。イライラする、モヤモヤする……」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 ご著書の『うつ消しごはん』『薬に頼らずうつを治す方法』を拝読し、このようなメンタル不調が「たんぱく質不足と糖質過多」からきている、つまり「質的栄養失調」の影響が大きい、ということが驚きでした。

藤川さん 飽食の日本で、まさか栄養の不足が起こっているなんて、とみなさん驚かれます。「質的栄養失調」とは、心身を健康に保つために欠かせない栄養素が足りていないために、なんらかの疾患を発症していることを意味します。具体的に言うと、糖質過多、たんぱく質不足、脂肪酸不足、ビタミン不足、ミネラル不足の状態を、私は「質的栄養失調」と呼んでいます。

特に私が専門としている心の病気は、この質的栄養失調を改善することによって本当に、良くなっていく例が多いのです。うつ病だけでなく、パニック障害、摂食障害のほか、小児のADHD(注意欠陥・多動性障害)、高齢者の認知症、最近では、糖尿病、アトピー性皮膚炎、リウマチ、膠原病といった患者さんも診ています。
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