突然死は夏に多い! 夏の疲れを助長する知られざる3大要因とは
夏バテを解消し、疲れ知らずで元気に乗り切る方法
塚越小枝子=フリーライター
気温の変化が不安定な梅雨から初夏にかけて、体調を崩す人が少なくない。そのまま猛暑の日々に突入すれば、疲れがたまる一方で夏バテ状態に……。そこで今回は、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんに、夏に疲れやすいワケと夏を元気に乗り切る方法を聞いた。「史上最も暑い年になる」という予測すらある今年の夏。夏バテに負けずに猛暑を乗り切ろう。
夏は体が戦闘態勢!疲れを悪化させる要因が多い
私たちが日常「体が疲れた」と口にするときは、「脳が疲れた」状態であり、肉体疲労も精神疲労も、あらゆる疲労は脳の中にある自律神経の中枢が疲れることで起こる、ということは既に述べた通りだ(詳しくは第1回「明らかになった疲労の正体!肉体疲労と頭の疲労は同じだった」を参照ください)。
疲労が蓄積した結果、自律神経の機能が低下して、本来なら対処できるストレス要因に体が対応しきれなくなった状態が、いわゆる「バテた」状態だ。梶本さんによれば、特に夏は疲労を悪化させる要因が多く、これが「夏バテ」を招くという。
その要因とは、大きく分けて「暑さ」「紫外線」「寒暖差」の3つだ。
暑い夏でも体が活動できるために、人の体は汗をかく。汗が蒸発するときに気化熱を奪うことで体の熱を放出して一定の体温を保っているわけだが、この体温調節を担っているのは自律神経だ。つまり暑いときは、自律神経がたくさん働かなければならず、その負担が大きくなるから疲れるわけだ。
また、夏(7~8月)は1年のうちでも紫外線量が最も多くなる時期だ。紫外線が目から入ることによってその刺激が脳に伝わり、自律神経のうち交感神経が優位になりやすく、疲れやすくなる。これを梶本さんは「全身が戦闘態勢をとるようなもの」と表現する。
「すべての動物は交感神経を落としてしまうと、アラート機能が働かず、敵に狙われて殺される危険があるため、自律神経が疲れても交感神経をあまり落とさないようにできています。その結果、相対的に交感神経優位になり、さらに疲れを招きやすくなります」(梶本さん)
さらに、暑い屋外と冷房の効いた室内を出入りするたびに、自律神経が急激な上下をくり返し、なんとか交感神経・副交感神経のバランスを保っている。こうした急激な切り替えは、本来、体に備わったシステムとしては想定されていないことなので、結果的に自律神経は疲弊してしまう。
「屋外と室内だけではなく、頭はのぼせるけれど足下は冷えるという、上下の寒暖差もあります。こうした寒暖差が多いことも夏バテの要因になります」(梶本さん)
上記の3要因に加え、夏は疲労を悪化させる社会的要因も増える。どういうことかと言うと…。