半年以上続くこの疲れ、もしかしたら「慢性疲労症候群」?
見えてきた「慢性疲労症候群」と脳の機能異常の深い関係
塚越小枝子=フリーライター
「だるい」「朝、起きられない」「休日にゴロゴロしても休んだ気がせず、疲れが残る」——気になる疲れの正体やその解消法を、疲労研究に25年以上携わる、関西福祉科学大学教授・倉恒弘彦さんに聞くシリーズ。第4回は、単なる慢性疲労とは異なる深刻な病態「慢性疲労症候群(CFS)」についてお伝えする。
原因不明の疲労が続く慢性疲労症候群

それまで健康に生活してきたのにある時から原因不明の強い全身倦怠感に襲われるようになり、疲労感とともに微熱、頭痛、筋肉痛、精神神経症状などが半年以上続いて社会生活にも支障をきたすほど――このような状態の人は、単なる慢性疲労とは異なる深刻な病態「慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome=CFS)」の可能性もある。
1999年に厚生労働省研究班が実施した実態調査によれば、原因不明の疲労のために日常生活に支障をきたしている人は人口の2〜3%。そのうちCFSの診断基準(表1参照)を満たしている人――つまり6カ月以上持続もしくは再発を繰り返す慢性的な疲労を訴えており、かつ表1の前提I、II、IIIを満たす人――は0.3%いるという。
「就労可能年齢(15〜65歳)を約8000万人とすれば、単純計算で24万人が慢性疲労症候群ということになります。近年は、10代で発症する小児CFSも不登校やひきこもりにつながるとして注目されています」(倉恒さん)
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- CFSの歴史は米国の小さな町から始まった