目へのダメージを防いだり、ダメージの修復材料となる栄養成分の摂取は、目のトラブル予防や眼病の進行抑制に有効とされる。だが、「目に良い」とされる各種の栄養成分が、「目のどの部位に効く」のかを知っている人は少ない。そこがクリアになると、栄養摂取の重要性が具体的に見えてくる。日々の診察に栄養指導を組み込んでいる根岸眼科クリニック(東京都台東区)院長の松本和子医師に詳しく解説してもらった。
どこにどの栄養成分が効く? まずは目の構造を理解しよう
ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」やケールやホウレン草に含まれる「ルテイン」、さらには欠乏すると夜盲症になる「ビタミンA」など、目に良いとされる栄養成分は数多い。だが、これらの栄養成分は「目全体に効いている」わけではない。「水晶体、網膜など、それぞれに効果のある場所が違っているんです」。栄養療法に詳しい、根岸眼科クリニック(東京都台東区)院長の松本和子医師はこう話す。松本医師の話をもとに、目に優れた効果を発揮する代表的な栄養成分と、その作用部位をまとめたのが図1だ。
ここで、目の機能をざっとおさらいしておこう。目に届いた光は、角膜で大きく屈折して目の中に入り、瞳孔(ひとみ)を通る。そしてピントを調節する水晶体で屈折したのち、網膜の中心にある黄斑部で焦点を結ぶ。集まった光は、網膜によって電気信号に変換され、視神経を通って脳に伝達されて像として認識されるのだ。また、目の表面の角膜などの組織に酸素や栄養を供給するには、涙が必要に。結膜は、白目の表面とまぶたの裏側を覆っていて、涙の成分の一部を分泌する。涙腺は上まぶたの奥にあり、涙液を分泌する。
このように、目の各部位はそれぞれが重要な役割を果たしているが、その働きをさまざまな栄養成分が支えている。それでは、栄養成分ごとに、どの部位にどう作用するのかをみていこう。