鏡をのぞいたら、両目が真っ赤に充血し、目やにも出ていた。そんな症状が表れたら、それはウイルスによる感染症「流行性角結膜炎」かもしれない。極めて感染力の強い目の病気であり、子どもが感染すると学校伝染病の一つとして出席停止扱いにもなるが、子どもの病気?と思うのは早計。大人でも油断できない。夏に感染者数がピークを迎えるこの疾患について、武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)眼科部長の中西基医師に解説をしてもらった。
アデノウイルスが原因のポピュラーな感染症
「『流行性角結膜炎』は、目の病気として、とてもポピュラーなもので、乳児から高齢者まで男女問わず、誰もがかかる可能性があります」。こう話すのは、武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)眼科部長の中西基医師。いわゆる「はやり目」とも呼ばれているこの疾患は、アデノウイルス8型、19型、37型の感染が原因になる。
アレルギー性結膜炎とは違い、目のかゆみはほとんどなく、他人から充血を指摘されて気づいたり、目やにが気になって鏡を見て発覚することも、珍しくないようだ。
症状は、結膜の充血、目やに、まぶたの腫れ、流涙などが一般的だが、時には目の痛みを伴うこともある。「耳の前にある耳前(じぜん)リンパ節の腫れも診断基準になっていますが、リンパ節が腫れて痛みを訴えて受診する患者さんはほとんどいません」(中西医師)。
流行性角結膜炎は、アデノウイルスが付着したものを触ったり、水を介して感染が広がっていく。「職場でも、流行性角結膜炎に感染した人が目をこすった後に触れたもの、例えば共用の端末や電話などから別の人にうつってしまうことがあります。非常に感染力が強いので、発症したら病気を広げないためにも、出社は控えた方がいいでしょう」と中西医師は話す。感染してから7~14日間の潜伏期間を経て発症する。8月をピークに夏期に流行するので、これからの季節は注意が必要だ。