気がつくと、以前よりまぶたが下がり、目を開こうとしてもぱっちりと開かない。物を見ようとするとき、見えにくいので無意識にあごが上がっている…。そんな悩みの原因となる眼瞼下垂。眼瞼下垂には先天性のものと後天性のものがあるが、後天性の多くは加齢によるといわれている。どのようなことが原因で眼瞼下垂は起きるのだろうか? その治療法とは? 丸尾眼科(東京都新宿区)院長の丸尾敏之先生に話を聞いた。
“まぶたが下がる”という症状は、しばしば眼瞼下垂(がんけんかすい)と呼ばれる。下垂の程度には個人差があり、まぶたがほとんど上がらない人もいれば、目がぱっちりと開かない、視野が狭くなった、と訴える人もいる。片目だけ下垂している場合と、両目とも下垂している場合がある。
眼瞼下垂は、生まれつき(先天性)のものと、加齢などによる後天性のものに分けられる。先天性の眼瞼下垂は、上まぶたを上げ下げする眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉が生まれつき正常に働かないことなどが原因で起きる。今回は、誰もがなり得る可能性がある、後天性の眼瞼下垂について解説する。
まず、まぶたを開ける仕組みについて説明しておこう。まぶたを直接持ち上げる筋肉には、眼瞼挙筋とミュラー筋の2種類がある。これらの筋肉の働きによって、まぶたの縁にある瞼板(けんばん)が持ち上げられてまぶたが開く。ところが、歳をとると眼瞼挙筋の働きが弱ったり、瞼板から離れたりするために、まぶたが下がってしまう。一方、ミュラー筋は緊張したり興奮したりすると縮む筋肉で、疲れたり、眠くなるとこの筋肉が伸び、まぶたが下がってくる。視線を下げたり、睡眠によって交感神経を休めることで機能は回復するが、ミュラー筋も加齢によって緩くなってしまうことが多い。
このほかに、眉毛を上げることでも多少まぶたが開く。眉毛を上げるときには、額にある前頭筋が働き、それに引っ張られるようにしてまぶたが開く。
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