最近、ものが見えにくい、ぼやけて見える、焦点が合いづらい、そんな経験のある人はいないだろうか? 調べてみると老眼の症状に似ているが、朝になると治っていたり、老眼になるには年齢的に早すぎるといった場合、それは、スマホの使いすぎによる眼のピント調節機能障害、いわゆる「スマホ老眼」の可能性も。スマホ老眼に詳しい、クイーンズアイクリニック(横浜市)院長の荒井宏幸先生に解説をしてもらった。
「老眼と症状が似ていることから『スマホ老眼』と呼ばれるようになった一連の症状ですが、本当の老眼とは症状が起きるメカニズムが違います」と荒井先生。では、本当の老眼とスマホ老眼が起きるメカニズムの違いはどこにあるのだろうか?
まずは、私たちがものを見る時の眼の動きについて、確認しておきたい。眼球は、見ようとする対象物の遠近に合わせ、ピントを調節する機能を働かせている。角膜を通して入ってきた光の視覚情報を、水晶体の厚さを変えて屈折させ、網膜で焦点を合わせて像を結ぶようにする。この時、水晶体の厚みを変える働きをするのが、毛様体筋という筋肉である。近くのものを見るとき、毛様体筋は緊張して水晶体を厚くし、遠くのものを見るときは緩んで水晶体を薄くする(図1)。
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