日経グッデイ

健康志向ラーメン最前線 ~ラーメン戦線に変化あり!?~

野菜はラーメンで食べる!? 従来の概念を覆すベジソバで女性客が最大8割に!

第2回 ソラノイロ(東京・麹町)

 外川ゆい=フードライター

ラーメンは、多くの人に愛されているにもかかわらず、“不健康”なイメージがある。そんなラーメンがここ数年で変わりつつある。素材にこだわる店が増え、「健康に配慮した」ラーメンを出す店が増えているのだ。それに伴い“ラーメン女子”と呼ばれる女性客も急増中。そこで日経グッデイでは、健康志向ラーメンの最新トレンドをいち早く取り上げ、東京で今話題のラーメンを提供している店を1軒ずつ紹介していく。今回紹介するのは、野菜をふんだんにつかった「ベジソバ」の名店「ソラノイロ」だ。

ここ2、3年、野菜をふんだんに使ったラーメン「ベジソバ」を提供する店が増えている。野菜たっぷりで、動物性脂肪が少ないので、通常のラーメンよりは格段にヘルシー(写真は、ソラノイロの「ベジソバ」)
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 「ベジソバ」という言葉を聞いたことはないだろうか。

 店によって名前は異なるが、野菜をたっぷり使ったベジタブルラーメンのことだ。内容も店によって異なるが、トッピングに野菜が多いのはもちろん、スープに野菜をふんだんに使ったり、麺に野菜を練り込んでいたりする。中には、鶏ガラや煮干しなどの“動物由来”の食材をまったく使っていないベジソバもある。このほか、数種類の野菜をポタージュ状にしたものに動物系スープを合わせた、ベジタブルポタージュラーメン(ベジポタラーメン)もある。

 ベジソバは、野菜たっぷりで、動物性脂肪が少ないので、通常のラーメンよりは格段にヘルシーだ。女性に人気なのはもちろん、健康に気を使っている男性などに受け入れられている。

「この店はカフェ?」と間違える人も多そうな、青と白が印象的なオシャレな本店「ソラノイロ Japanese soup noodle free style」の外観。ガラス張りで開放感がある
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 健康志向の流れもあり、ここ数年で提供する店舗が増えている。そんな「ベジソバ」で有名なのが、今回紹介する東京・麹町にある「ソラノイロ Japanese soup noodle free style」だ。“女子ラーメン”の火付け役ともいわれている店だ。

本店「ソラノイロ Japanese soup noodle free style」の店内。カウンターにはお酒のボトルも並ぶ
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 2011年に麹町でオープンし、雑誌、テレビなどで度々取り上げられ一躍人気店となった。そして2014年末には「ミシュランガイド2015東京」でビブグルマンに掲載、世界に認められるラーメン店の一つになっている。ちなみに、「ソラノイロ」というラーメン店らしからぬ店名は、「空の色」のように変化し続けたいという思いから付けたという。

 昨年には、東京駅一番街・東京ラーメンストリートに「ソラノイロ NIPPON」をオープンさせた。今年は、さらに2店舗を開業する予定だという。

女性が一人でも安心して食べられるラーメン店に

ベーシックなタイプの「ベジソバ」850円。丼のふちに添えられているのは、マッシュポテトと柚子胡椒
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 ソラノイロの店主、宮崎千尋氏は、博多とんこつラーメンの名店「博多一風堂」や、一風堂が東京西麻布で開いたラーメン店「五行」でマネージャーを務めた人物。宮崎氏は、高校時代にラーメンの食べ歩きをして、ラーメン店の店主の背中にあこがれてこの道に入ったという。

 「ラーメンは値段が安く、誰もが気軽に食べられる日本が誇る国民食です。一杯のラーメンでも人を幸せにできるんです」と宮崎氏は思いを語る。

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製麺所に特注した、パプリカのパウダーを練り込んだオリジナル麺。もちもちとした食感で食べ応えもある。1人前は140g

 ソラノイロはそんな宮崎氏が、「女性が一人でも安心してラーメンを食べられるようなお店にしたい」という思いからスタートした店だ。麺・スープ・トッピングすべてに野菜をふんだんに使った看板メニュー「ベジソバ」は、宮崎氏の思いが詰まった一杯。女性にとって居心地のいいラーメン屋、というコンセプト通り、現在では、時間帯にもよるが平均して女性客は4割、多い時には8割を占めるという。

 ベジソバは、これまでのラーメンの概念を覆すようなヘルシーさが特徴だ。カラフルなオレンジ色の麺は、厳選した準強力の小麦粉に、少し辛味のあるパプリカを練り込んだもので、スープがしっかりと絡むよう、もちもちとした食感の平麺にしている。プラス150円で、グルテン(小麦などの穀物に含まれているタンパク質の一種)フリー対応の玄米麺に変更することも可能だ。

スープは、キャベツ、ニンジン、セロリ、トマトをベースに塩味を効かせたものをベースに、タレを合わせている。タレには、ムール貝、イタヤ貝、昆布、サバ節などを使用
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 スープは、キャベツ、ニンジン、セロリ、トマトをベースにして2時間かけて作る「ベジブロス」に塩味を効かせたもの。タレは、ムール貝を煮詰めて、イタヤ貝や昆布、サバ節などを合わせた塩ダレで、塩は2種類をブレンドしている。さらに、油は、米油にレンコンなど数種類の野菜の香りを移した香味油を使っている。

 トッピングには、蒸しキャベツ、マッシュポテト、サツマイモなど計5種類がのる。トッピングの野菜の総量はおよそ100gになる。戻した押し麦は、バジル和えにしている。

自社農園でニンジンを無農薬栽培

 このように、ソラノイロでは一杯のラーメンにたくさんの野菜を使用するが、そのなかでも鍵となるのが「ニンジン」だ。かつて宮崎氏は、ホテルでニンジンジュースを飲んで、その旨みと甘みの強さに驚いた経験がある。「この味わいはラーメンにも使えるのではないか」――この発見が「ベジソバ」につながることになった。

 現在は、自社農園である「ソラノイロ農園」を島根県で立ち上げ、ニンジンを無農薬で栽培しているという。トッピングしているニンジンを食べると、素材そのものの自然な甘さに驚かされる。

正統派・中華そばも素材にこだわる

昔ながらの「特製中華そば」1050円。ベジソバではなく、通常の中太のちぢれ麺を使用している
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 「ベジソバ」のイメージが強い「ソラノイロ」だが、正統派の「中華そば」も人気だ。懐かしさを感じつつも、素材の良さが随所に感じられるラーメンだ。スープには熊本の地鶏「天草大王」と豚げんこつを使った動物系スープに、カタクチイワシ、昆布、鰹節やキャベツ、トマト、ニンジンなどの野菜を加えて作っている。タレには長野県の丸正醸造の「原料だけで造った醤油」に、チャーシューの煮汁などをブレンドして作っている。麺は2種類の小麦粉をブレンドした、小麦の風味がしっかり感じられる麺だ。

 一般的なイメージでは、中高年の男性ならば、ヘルシーなベジソバより、慣れ親しんだ中華そば選択する人が多そうだが、男性のベジソバのオーダー率も高いという。

厨房で腕を振るう、本店「ソラノイロ japanese soup noodle free style」副店長の塩田剛基氏
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 副店長の塩田剛基氏は、「全体の注文数も、以前は中華そばの方が多かったのですが、今はベジソバの方が多くなっています」と話す。「カラダへの配慮で渋々ベジソバを選ぶ、というわけではないんです。『食べ応えもあるし、なにより旨い』と週に何度もリピートしてくださる男性も多くいらっしゃいます」(塩田氏)。

さらに進化するベジソバ

 ベジソバは今も進化を続けている。前述したように、ベジソバには、ムール貝のスープを使うなど、動物由来の食材も使っている。もちろん野菜たっぷりなのでカラダに優しいが、これをさらに押し進めて「動物由来の食材を一切使わない」ラーメンも提供している。

 これが「ビーガンベジソバ」だ。トマトやキャベツなどの野菜スープに、ニンジン、トマト、玉ねぎをオリーブオイルでグラッセしたピューレを入れ、シンプルに塩だけで味付けしている。健康志向が高い人はもちろん、ベジタリアンの外国人客にも好評だという。

「ソラのスムージー」150円。青臭さなどなく、飲みやすい味わいに仕上げている
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 ソラノイロの健康と野菜へのこだわりは、サイドメニューにも及ぶ。日替わりで提供している「ソラのスムージー」は、毎朝、専用のジューサーで生野菜とフルーツをしぼっている。オシャレなカフェやジュースバーなどで頼むと数百円はしそうだが、こちらでは150円で提供している。実際、原価率はかなり高いそうだ。

 さらに、コールスローやラタトゥイユといったオシャレな野菜のサイドメニュー「健康 食べる野菜!」も150円で提供している。「ソラのスムージー」「健康 食べる野菜!」ともに各10食限定。サイドメニューも、女性の胃袋をギュッとつかむ理由だろう。

写真/福本和洋(MAETTICO)

ソラノイロ Japanese soup noodle free style

【住所】東京都千代田区平河町1-3-10 ブルービル本館1B
【電話】03-3263-5460
【営業時間】11:00~LO15:30、18:00~LO22:00(日曜・祝日11:00~LO15:00) ※各日スープ・麺が切れ次第閉店
【定休日】土曜日
【ホームページ】http://soranoiro-vege.com/