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男のストレス事情

「明確な答えを出さねば」というプレッシャーが息苦しさを生む

フリーライター 武田砂鉄さんに聞く「あえてクリアにしないという選択肢」【3】

 森脇早絵=フリーライター

 第1回第2回で、「問題に対してクリアな答えを出さねばならないという社会的圧力が、あらゆる場面で存在する。答えは別に灰色だっていい」と強調したフリーライター・武田砂鉄さん。
 メディアで現在社会のあらゆる問題を鋭い視点で斬り、多くの注目を集めている武田さんだが、世間から批判を受けることもしばしばある。自身が怒りを感じることもある。彼はどのようなスタンスで情報発信をしているのか。ここにも、生きづらさと向き合うヒントが隠れていた。

「君も~~すれば分かるよ」と言われると、腹が立つ

経験者しか発言できない社会だと、あらゆる問題が当事者だけの問題になりかねません。
[画像のクリックで拡大表示]

武田 以前、ラジオ番組に出演して、なかなか腹の立つことがありました。経済評論家がパーソナリティを務める番組で、ワーキングマザーや政府の女性政策について話してくれと呼ばれた時のことです。

 様々な議論を交わした最後の最後になって、「まぁ、武田さんも子どもが産まれたら分かると思いますけどね」と言い残し、番組を締めくくられてしまった。これまでの議論は、一体何のためだったんだろうと思いましたね。こうして、未経験を経験で押しつぶすような、「議論のフタを閉めてくる」人たちに、もの申したくなります。

 「結婚すれば分かるよ」とか、「子どもを産めば分かるよ」とか、「親の介護を経験すれば分かるよ」とか、経験した上での語りばかりを優先してしまうと、何かと未経験な人たちはとにかく声を発しにくくなります

 子どもがいなくても子育て上の問題を考えるべきだし、子どもを産んだ人でも未婚の人の境遇を考えるべきです。最近、テレビを見ていると、子育てがテーマの番組に限らず、ゲストの肩書きに「2児のママ」などと書かれているじゃないですか。さぁ、この人は“該当している”人物なので真実味がありますよ、という感じ。

 本人の希望のあるなしにかかわらず、属性を知らせて、信憑性がありますよ、発言に重みがありますよ、と伝えてくる。それはもちろん事実ですが、その傾向ばかりが強まってしまうと、「“じゃない人”の立場の話は重みがない」と捉えられてしまう。たぶん、僕が今、待機児童の問題を語るとなると、「子どももいないのに、なぜそんなことを言うの」と思われてしまうかもしれない。でもそれは、当事者の問題ではなく、社会の問題であるはず。当事者とともに、当事者以外も語るべきです。当事者の苦悩、だけでは、その問題が深く問われることはあっても、広く問われることにはなりません。

 社会が抱える問題は、当事者以外が考えなければ解決に向かいません。何かしら関係のある人たち、経験のある人たちだけがそういう問題に対して発言できるという風土を作りすぎると、問題意識は広がっていきません。非当事者でも、もうどんどん、がんがん、いろんなことに突っ込んで発言していくべきです。

 「Aがないあなたには分からない」という言質を許してしまうと、「Aがある人」「Bがある人」というようにコミュニティがどんどん細分化されていく。そこにいれば安堵できるけれど、そこから外れると、お前はどこに属するんだとなりかねません。

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