「家は戸建て、子は2人、妻は専業主婦」というモデルケースの2周目はない
フリーライター 武田砂鉄さんに聞く「あえてクリアにしないという選択肢」【2】
森脇早絵=フリーライター
生き方、働き方に明確な指針を示さなきゃいけないと思いません。「自分はこういう働き方ではダメだった。どうしたらいい」と問い、人に選択肢を示してもらって、そのまま「じゃあ、そうします」、って、これ、危ないですよね。そうではなく、疑ったままの状態を維持して一つひとつ判断していく、ということではダメなのかな、と思います。
フリーになって、全てがハッピーになるわけじゃない。当たり前です。日々、面倒なことばかりです。ここがダメなら、あっちはサイコー、そんな単純じゃありません。すぐに結果を求めずに停滞したりとか、ひとまず問題を先送りにするということが、もっとあってもいいんじゃないかなと思います。
それこそ0か1か。同意か反対か。そうじゃなくて、その間にある答えを見つける距離感を認めてもいいというか。今の会社じゃダメだと思ったとしても、結論を保留してもいい、休戦してもいい、いろんな選択肢があってもいいと。
武田 白黒ではなく、万事は灰色で良し、という考えでいます。限られた選択肢を提示されると、どちらかに行かなきゃいけない圧力のようなものが、知らぬ間に生じます。でもそれ、そもそも、提示した側が有利になるだけの問いかけじゃないか、ってひとまず疑うべきですよね。
(聞き手:森脇早絵=フリーライター、写真=菅野勝男)
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