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男のストレス事情

「いいね!」を強要する緩やかな繋がりに「NO!」と言ったっていい

フリーライター 武田砂鉄さんに聞く「あえてクリアにしないという選択肢」【1】

 森脇早絵=フリーライター

 こうなると、どうしても、現実社会とSNSで人格を使い分けるような、あるいはSNSごとに自分なりに別人格を設けるなどして対応しなければならなくなります。しかし、人間ってそんなに要領よくいくつものパターンを分けられません。少なくとも自分には無理です。いくつもの自分を用意することなんてできないのに、何パターンも求められている感覚があります。これを無理にこなしていたら、どうしたってどこかで軋んでしまうだろうと思います。

人と緩やかに繋がりつつ、同時に賛同を強要される風潮もあります。とにかく「いいね!」を押しとけ、みたいな。武田さんの著書にも、「批判をすれば炎上するし、人間関係が崩れたりする。結局、肌触りのよさを提供しあうような対話になってしまう」というお話がありました。

武田 そもそも、誰かの考えや取り組みに即座に「いいね!」なんてなかなか言えないですよね。「いいね!」だけじゃなくて、「ちょっとまって!」とか「まあまあいいね!」とか、「昨日までよかったね!」とか、「今日は気にくわないぜ!」というふうに、それぞれの頭でその都度考える、これが人間の基本的な思考状態だと思います。

 でも今、それを切り崩すというか、「即断せよ」と迫るアイテムがどんどん提供されてきます。

 「あっ、今、考え中なんで」が許されないというか。いかなる問題でも、右か左か、どっちの陣営につきますか、という騎馬戦状態がすぐに生まれる。えっ、騎馬戦に参加するなんて言ってないけど…という申し出を受け入れてくれるところがない。本来は、左右どちらかではなく、その間のどこかに答えがあるわけです。しかし、「オマエ、どっちにつくの?」とばかり問われてしまう。これじゃあ、どうしたって常にケンカが誘発されます。

 そうやって誘発されたケンカを前にして、「ケンカはよくない」と言うために、皆々が納得してくれそうなもの、つまり、共感してくれそうなものばかりが提供され始めます。でも、これもまた更なる騎馬戦状態を作ってしまう。「これに共感できますよね」と働きかけること自体は、そのコミュニケーションを理解する者たちの間では柔らかく、心地いいものです。しかし、その心地よさに共感できないといけない、って、これも排除の論理を生み出す可能性があります。となると、そもそも共感する必要なんてないんだというところから、訴えてみたくなるんですよね。

 例えば、今こうして、設問を投げてくれているそちらと、設問を聞いているこちらは、特に同意し合う必要なんてない。別にこちらとそちらは理解し合う必要もないのだし、たとえこの場で理解したとしても、明日にはケンカしたっていい。それは裏切りではなくて、人と人との自然な状態だと思っています。同じ思いを共有しようとしすぎるのは、とっても不自然なことです。

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