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男のストレス事情

「人の命より経済優先」の社会的暴力に押しつぶされちゃダメだ

アナキズム研究の政治学者 栗原康さんに聞く「生きづらさからの脱却」【3】

 森脇早絵=フリーライター

人は社会から「暴力」を受け続けている

栗原さんの著書『現代暴力論』(角川新書)では、原発事故の話から、人は社会的暴力を振るわれているという話が展開されていました。国や企業は「経済至上主義」であり、人命よりも秩序の維持について考える。だから言うことを聞かない人には負い目を感じさせようとすると。だから、「稼がなければならない」「休んではいけない」と思い込んでしまう。人が自由に生きられない原因は、そこにあるのかもしれません。

栗原 3.11の後、福島第一原発は明らかに危なかったですよね。福島近辺だけでなく、本当は関東地方、東京も危険でした。もし、もっと大きな爆発が起こっていたら、東京も人が住めなくなっただろうと思います。

 だけど、政府は「直ちに健康に被害はありません」と繰り返していた。そう言っている側も、完全にウソだって分かって言っているじゃないですか。言われている側もウソだって分かっているのに、住んでいる場所から逃げ出せない。

「『経済のためなら死んでもいい』。社会全体がそんな思考に陥っていないかと…」
[画像のクリックで拡大表示]

 なぜ、政府はそんなことを言ったのかといえば、理由は「経済を動かすこと」以外ないと思うんです。東京の人たちが脱出してしまったら、経済は終わってしまいますからね。よくよく考えたら、経済が終わることより、人の命が終わる方がやばいと思うんですけど。

 でも、人の思考が反転してしまっていて、「ヒステリーを起こしちゃダメだ」とか「逃げるために移住しようと言ってはダメだ」「そんなことをすればパニックを引き起こしてしまうからダメ」「『危険だ』とデマを流すな」といった思考になっていた。

 あのとき、震災が起こって原発が爆発し、パニックになったときに、「自分の身を守る」とみんなが言えるかどうかが大事だったんじゃないかなと、僕は思うんです。

 経済のためなら、死んでもいい。金を稼ぐためなら、死んでもいい。こうした意識の根底にあるのは、今回のテーマである、男性が抑圧されている原因と同じものだと思います。

 そういうことを考えると、原発事故は、そうした社会の本質が分かりやすく出た機会だったと言えるのではないでしょうか。

社会全体が人に「経済優先」というプレッシャーを与え、その中で統制していくと読み解いていらっしゃいましたね。

栗原 社会に逆らったらお金を稼げなくなるよ。そうなれば死ぬよというふうに、人は見えない暴力を受け続けていると思います。

今のような話を聞くと、「何を言っているんだ」と反発する方もいるかもしれませんが、栗原さんのような見方があることを知っておくだけでも、追い詰められた時に、ずいぶんと気の持ち方が変わるような気がします。

 そうですね。本当に追い込まれたら、自分が死んでしまいますからね。そうなってしまう前に、ちゃんと「ノー」と言うこと。ワガママ上等でいいから、まずは声を上げること、動いてしまうことが大事だと思います。

[画像のクリックで拡大表示]

(写真:菅野勝男)

栗原 康(くりはら やすし)さん
政治学者、東北芸術工科大学非常勤講師
栗原 康(くりはら やすし)さん 1979年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科・博士後期課程満期退学。専門はアナキズム研究。著書に、第5回「いける本大賞」受賞、紀伊國屋じんぶん対象2015第6位となった『大杉栄伝-永遠のアナキズム』(夜光社)。ほかに『G8サミット体制とはなにか』(以文社)、『はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言』(タバブックス)、『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』(岩波書店)などがある。

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