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男のストレス事情

人材配置を誤るとストレス社員が急増する

『男はなぜこんなに苦しいのか』著者・海原純子氏インタビュー

 取材・まとめ:小泉なつみ=フリーライター

仕事の裁量が、ストレス度を左右する

――確かに「やらされている感」の有無や仕事の裁量度はストレスと関係が深いように感じます。実際、働き方とストレスはどの程度関係があるのでしょうか。

 ストレス要因としてよく長時間労働が取り沙汰されます。もちろん労働時間の長さは大きなファクターではありますが、実は、ストレス度合は「仕事の要求度」と「自由度=コントロール度」のバランスによって決まるというほど、ストレスと働き方は大きな関わりがあるとされています。

 スウェーデンのカロリンスカ医科大学ストレス研究所のローバト・カラセク氏が提唱した「カラセクモデル」によれば、出社時間やプロジェクトの進行など、仕事に関わるすべてを上司に言われた通りにしかさせてもらえず、自分に全く決定権がない状態は、「コントロール度が低い」とされています。そしてコントロール度の低さに加えて「高い成果も要求される(要求度が高い)」パターンが、最もストレスをため込みやすい状態だとカラセク氏は説いています。

 逆に自分の裁量で仕事ができる幅が広いと、求められる水準が高くても、ストレスになりにくいといわれているんです。つまり労働時間の長短だけでなく、働き方そのものが大きく心身に影響するんですね。本の中でも紹介しているフリーのプロデューサーの方も、休みが月に1~2回しかない状態ですが、仕事の進め方の自由度が高いせいか、疲弊知らずでいつお会いしてもお元気です。

仕事の要求度が高くても仕事の進め方のコントロールができる場合はストレスを乗り切れる。最悪は要求度が高くコントロールもできない場合だ。(図は、カラセク博士の論文を基に海原氏が作成)
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*   *   *   *   *   *   *

 労働時間の長短だけでなく、働き方もストレスと大きな関わりがあることは重要なポイントだ。働くすべての人がストレスに関するこうした知識を持つことが、会社全体、ひいては社会全体のストレス予防につながるに違いない。

 なお、今回の取材で印象的だったのは、「『私はまだまだ社員の話を聞けていないんです』と言う上司ほど実際にはよく部下のことを見ていて、コミュニケーションも取れている。一方で、『私は部下のことを何もかも把握している』と言う上司ほど、まったく理解がないパターンが多い」という海原さんの言葉だ。さて、あなたが人事権を持つ立場やチームを束ねる立場にいるとしたら、一体どちらのタイプだろうか。

 海原さんへのインタビュー、次回は、ストレスから立ち直る“レジリエンス《回復力》”の磨き方についてお伝えする。

[画像のクリックで拡大表示]

『男はなぜこんなに苦しいのか』

(朝日新聞出版・朝日選書、780円+税)

 「優秀にみられるのに、実はアルコールに頼る毎日」「やたらと攻撃してくる上司がいる」「妻の機嫌がいつも悪い」など、心の不調を訴える男性たちの様々なケースを紹介。ストレスに強い自分になるための実践的な方法についても丁寧に解説している。

海原 純子(うみはら・じゅんこ)さん
医学博士
海原 純子(うみはら・じゅんこ)さん 東京慈恵会医科大学卒業、1986~2006年女性の為のクリニック所長、2006~2013年白鴎大学教育学部教授、2012年昭和女子大学国際学部客員教授、2008~2010年ハーバード大学客員研究員、2013年日本医科大学特任教授、2007~2012年厚生労働省「健康大使」。復興庁心のケア事業(2013-2014)統括責任者、復興庁県外自主避難者支援事業心のケア担当(2014-2015)、日本医科大学健診医療センターストレス健診外来担当。著書に『こころの格差社会』(角川書店)、『男はなぜこんなに苦しいのか』(朝日新聞社)などがある。

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