薬で血圧はなぜ下がる?主要薬の降圧メカニズム
高血圧が「血管パンパン型」か「血管ギュウギュウ型」かで使い分け
宇津貴史=医学リポーター
50代の男性ならば4人に1人が、降圧薬を飲んでいる(NIPPON DATA 2010)。ストレスや時間に追われる働き盛り世代、やはり生活習慣の改善だけで血圧を目標値まで下げるのは難しいのかもしれない。ところで、自分の飲んでいる薬が、どのような仕組みで血圧を下げているかご存じだろうか。毎日飲むものだ。基本的な知識は持っておいて損はない。

最新版の高血圧ガイドライン(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」)は、血管系の病気や糖尿病を持っていない高血圧患者に対し、3種類の降圧薬を推奨している。(1)降圧利尿薬、(2)レニン・アンジオテンシン系阻害薬、(3)カルシウム拮抗薬─だ。それぞれ異なった仕組みで血圧を下げる。
「高血圧のタイプに合わせた薬を飲まないと、血圧はうまく下がりません」。そう説明するのは、30年以上にわたって高血圧の治療に取り組んできた、循環器科医師の桑島巌氏。桑島氏は東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)の顧問で、現在も高血圧外来を担当している。
桑島氏の言う「高血圧のタイプ」とは、「血管パンパン型」と「血管ギュウギュウ型」の2つである。少し細かく見ていこう。
高齢者に多い、血液量が水増しされた「パンパン型」
「血管パンパン型」は、血液中の水分が増え、その結果、血管の壁にかかる力(血圧)が上昇する高血圧だ。容量を超えた水が流れ込んだホースをイメージしてほしい。ホースには大きな力がかかり、膨れあがる。「日本人の高血圧は、7割がこのタイプです」と桑島氏。
典型的なのは、塩のとり過ぎによる高血圧だ。