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インフルエンザ総特集

インフルエンザの新薬ゾフルーザは“早く楽になる”

ウイルスの消失が速く、家族内感染を減らせる可能性

 金沢 明=医学ライター

 では、この冬インフルエンザにかかった患者は、皆ゾフルーザを飲めばよいということになるのだろうか? 廣津氏は、その問いには慎重な姿勢を示す。

 「確かに承認前の治験では十分な効果や安全性が認められましたが、治験に参加した患者の数は1000人程度です。ゾフルーザが発売になったのは、昨シーズンの流行が終盤に入った2018年3月中旬なので、まだそれほど多くの患者に使われていません。どんな新薬も、臨床現場でかなりの人数に使われないと、本当に安全で良い薬であるかは分かりません。私のクリニックでも、予期せぬ副作用の出現に十分注意しながら慎重に使っていく予定です」(廣津氏)。

 なお、ゾフルーザの治験では、治療中に小児患者の2割強、成人患者の約1割で、「アミノ酸変異株」の出現が認められている。それらの患者では、インフルエンザウイルスのゾフルーザに対する感受性の低下がみられたが、感受性の低下幅は約50倍と比較的小さく、そのことがゾフルーザの治療効果の低下につながるかどうかは分かっていない。他のインフルエンザ治療薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)でも、治療中に低感受性ウイルスや耐性ウイルス(感受性が100倍以上低下したウイルス)が出現することが分かっているが、いずれも臨床効果への影響は不明だ(*3)。

 それぞれの治療薬の特徴を表1にまとめた。ゾフルーザは、現時点では予防投与が認められていない。薬剤費を比較すると、今シーズン登場したタミフルのジェネリック医薬品「オセルタミビル(一般名オセルタミビル)」が一番安い。インフルエンザの治療を受ける際は、こうした違いも頭に入れておきたい。

表1 インフルエンザ治療薬の比較
[画像のクリックで拡大表示]

 インフルエンザの予防にはワクチンなどの手段がある。だが、自己の感染予防以上に大切なことは「インフルエンザにかかった人が、周りの人にうつさないこと」だと廣津氏は話す。「急な寒気、熱、咳、節々の痛みといったインフルエンザのような症状が出てきたら、無理して出歩かず、早めに受診し、休息をとってください。周りの人に感染を広げないよう、1人1人が配慮することが、社会全体の流行を抑えるためには一番重要です」(廣津氏)。

*3 日本感染症学会「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(Cap-Dependent Endonuclease Inhibitor)Baloxavir marboxil(ゾフルーザ)について」
廣津伸夫(ひろつ のぶお)さん
廣津医院(川崎市高津区)院長
廣津伸夫(ひろつ のぶお)さん 1972年東京慈恵会医科大学卒業。同大学第二内科、小児科を経て1984年より廣津医院院長。
感染症、インフルエンザを専門とし、インフルエンザの研究で2004年に神奈川県医師会学術功労者表彰、2010年に日本臨床内科医会会長賞受賞。共著書に『インフルエンザ診療マニュアル』(日本臨床内科医会)、『プライマリケアのためのインフルエンザ診療』(医薬ジャーナル社)ほか。日本感染症学会インフルエンザ委員。

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