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インフルエンザ総特集

貼るだけでOK! 「痛くない」インフルエンザワクチンの開発が活発化

次に登場するのはどのワクチン?

 大西淳子=医学ジャーナリスト

【2】痛みの少ない皮内投与型ワクチンも承認待ち段階

 フルミストの申請に先駆け、第一三共、テルモ、ジャパンワクチン、北里第一三共ワクチンが共同開発した皮内投与型季節性インフルエンザワクチンも、2015年4月に承認申請が提出されており、承認待ちの段階にあります。

 フルミストは従来の不活化ワクチンとは全く違う製法で作られた生ワクチンであるのに対し、この皮内投与型ワクチンの成分自体は、現在の不活化ワクチンと同じものです。違いは、皮下注射ではなく、ノック式ボールペンのような特別な注射器を用いて、皮膚のより浅い部分(皮内;皮膚の表面から2mm以内)にワクチンを送り込むという点です。

 皮内には免疫細胞が多いため、皮下に注射するよりもワクチンの効果が高まることが示されています。また、従来に比べ細く短い針を用いるため、痛みも少ないと期待されています。

【3】国産の次世代型経鼻ワクチンの開発も続く

 より有効で安全、かつ安定した効果が得られる「次世代型」経鼻ワクチンの開発に取り組んでいるのは、国立感染症研究所の長谷川秀樹氏らのグループです。

 現在日本で用いられている不活化ワクチンは、インフルエンザの発症予防と症状軽減をもたらしますが、「次世代型」のワクチンは、感染そのものを予防します。さらに、予測された型以外のインフルエンザウイルスが流行しても効果を発揮する経鼻ワクチンになる見込みです。

 長谷川氏らはすでに、承認申請に向けた国内での臨床試験(フェーズ1試験)実施に向けて、試験計画を作成しています。

【4】手首に貼るだけ! パッチ型ワクチンへの期待高まる

パッチ型ワクチンのイメージ。マイクロニードルが100本植えつけられた粘着シートを手首の外側に貼り付けて20分待つ。(Lancet. 2017; 390(10095) :649-658. 掲載の写真を参考に作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 もう1つ、米国で開発が進んでいる新しいタイプのインフルエンザ不活化ワクチンをご紹介しましょう。自分で接種できて、痛みはほとんどなく、安全で安価な「パッチ型ワクチン」です。米国では既に、このワクチンを健康な人に接種する臨床試験が始まっています。

 このパッチ型ワクチンの基本的な構造は、実は、日本でもスキンケア用品として販売されている、目元に貼り付けるヒアルロン酸のマイクロニードルパックとほぼ同じです。小さな粘着性シートの約1cm四方のエリアに、100本の微小な針(長さ650μmのマイクロニードル)が規則正しく植えられており、1本1本の針の中にワクチンが詰め込まれています。

 このシートを手首の外側に貼り付けると、皮膚に浅く刺さった針が溶けてワクチンが皮内に放出され、約20分で接種は完了します。使用後のパッチには針が残らないため、廃棄も簡単です。2015年に100人を対象に米国で行われた臨床試験では、マイクロニードルを用いたパッチ型ワクチンは、従来のインフルエンザワクチンの筋肉注射と同程度の抗体を産生させる効果があり、有害事象の発生率にも差がなかったことが確認されています(*4)。

 また、パッチ型ワクチンを使用した人に、摂取後すぐに痛みの有無を尋ねたところ、96%が「痛みなし」と解答しました。その後、貼り付け部位には、圧痛(66%が経験)、紅斑(40%)、掻痒(82%)などが見られましたが、この接種方法に対する好感度は高いことがわかりました。

 自分で接種でき、廃棄は容易、かつ冷蔵が不要(40度で1年間保管しても変化なし)で安価、となると、従来型ワクチンを接種する方法として、パッチ型ワクチンは非常に有望と考えられます。今後の開発の進展に期待したいところです。

*4 Rouphael NG, et al. Lancet. 2017 Aug 12;390(10095):649-658. doi: 10.1016/S0140-6736(17)30575-5. Epub 2017 Jun 27.

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