日経グッデイ

インフルエンザ総特集

インフルエンザにかかってしまったら

水分補給は? 治療は? 家庭内感染を予防するには?

 日経Gooday編集部

 今シーズン(2016/2017シーズン)は、インフルエンザの流行が例年になく早く始まり、年末年始に流行のピークを迎える地域も出てきそうです。そこで、昨シーズン公開した「インフルエンザにかかってしまったときの対策集」をアップデート。ぜひお役立てください!

インフルエンザにかかったら水分補給はどうすればいい?

 冬に流行する感染症には、インフルエンザのほかにノロウイルス感染症(ノロウイルスによる感染性胃腸炎)がよく知られていますが、この2つの疾患では水分補給の対処法が少し異なることをご存じでしょうか?

 ノロウイルスが胃・小腸・大腸などの消化管に感染するのに対して、インフルエンザは鼻腔・咽頭・気管支・肺などに感染する気道感染症です。下痢・嘔吐によって大量の水分が失われるノロウイルスでは、脱水症状に陥る危険が強いため、お茶や水ではなく、ナトリウム・カリウムなどの電解質が体に近いバランスで含まれている経口補水液での水分補給がすすめられます。

 一方、インフルエンザの場合、嘔吐・下痢は短期・軽度であることが多く、発熱による発汗や、食事がとれないことなどが脱水の主な原因となるため、まずは食べられるものを食べることが大原則になります。

 ※インフルエンザの水分補給について詳しく知りたい方は「ノロvsインフル、脱水予防の水分補給はこう区別せよ」をご覧ください。

 次は治療薬です。

治療薬は何種類? どんな特徴があるの?

 インフルエンザの治療薬として用いられるノイラミニダーゼ阻害薬は、現在、4つの種類が使われており、経口薬、吸入薬、点滴薬の3つの剤型があります(下表)。飲み薬か吸入薬か点滴か、1日2回を5日間か、1回のみの服用か、といった使い勝手を基準に医師が使い分けています。自分でうまく吸入できない乳幼児には、経口薬(粉薬もあり)のタミフルが主に使われます。今シーズンは、タミフルが1歳未満の小児にも保険適用されたほか、吸入薬のイナビルの予防投与が10歳未満の小児に対しても可能になりました。

抗インフルエンザウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)の種類と使い方
商品名一般名剤型治療に用いる場合予防的に用いる場合(*1)
タミフルオセルタミビル経口薬75mgを1日2回×5日間(*2)75mgを1日1回×7~10日間(*2)
リレンザザナミビル吸入薬10mgを1日2回×5日間 10mgを1日1回×10日間
イナビルラニナミビル吸入薬40mgを1回(*3)20mgを1日1回×2日間または40mgを1回(*3)
ラピアクタペラミビル点滴薬1回2016年11月末現在、予防投与は認められていない
*1 予防的に使用される場合は保険は適用されない。
*2 小児の1回量は体重に応じて2mg/kg(上限75mg)。また、小児の予防投与の期間は10日間。
*3 成人および10歳以上の小児に対する分量。10歳未満の場合、治療・予防のいずれも20mgを1回。

家庭内感染を防ぎたい! そんなときは

 家族がインフルエンザにかかってしまった場合、なんとかして家庭内感染を食い止めたいもの。患者にはできるだけ家族と離れた場所で療養してもらい、食器などの共用や不必要な接触を避けるのが第一ですが、同時に、室温・湿度の管理も重要になってきます。

 インフルエンザウイルスは寒冷乾燥を好み、高温多湿に弱い特徴があります。空気中に水滴など水分が少ないと、せきやくしゃみなどで勢いよく出た飛沫は遠くまで飛びますが、温度20度以上、湿度50~60%になると、空気中での感染力が下がります

 ※感染予防のための室温・湿度管理について詳しく知りたい方は「室温・湿度管理でインフル予防」をご覧ください。

 また、「家族に高齢者がいる」「子どもが大事な受験を控えている」など、どうしても家庭内感染を防ぎたい事情がある場合は、医師に相談して、インフルエンザの治療薬を「予防投与」してもらうことで感染を防ぐ方法があります。インフルエンザの治療に使われる抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)のうち、点滴薬を除いた「タミフル」「リレンザ」「イナビル」の3種類は、インフルエンザの予防目的に使うことが認められています。ただし、あくまで予防としての使用ですので、ワクチンと同様、保険は使えず全額自己負担となります。

 抗インフルエンザ薬の予防投与を行うための第一の条件は、家族など同居の人がインフルエンザにかかっていることです。さらに、健康な人よりもインフルエンザにかかりやすい、あるいはかかった場合に重症になりやすい、「65歳以上の高齢者」「気管支喘息など慢性の呼吸器疾患がある」などの条件に当てはまる人が予防投与の対象となります。対象外の人でも予防投与を受けることは可能ですが、その判断は個々の医師の価値観によっても変わってきます。

 ※抗インフルエンザ薬の予防投与について詳しく知りたい方は、「インフルエンザに『絶対かかりたくない』時の切り札」をご覧ください。

解熱後、いつまで学校や仕事を休まなければいけないの?

 子どもがインフルエンザにかかると、学校を休まなければなりません。その際の出席停止期間は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児の場合は3日)を経過するまで」とされていますが、この「5日」「2日」のカウント方法が、少し分かりにくいのです。

 そこで、出席停止期間の数え方を、具体例を挙げながら下記の記事で解説しました。実は、最後に意外な「どんでん返し」もあります…お子さんのいる読者の皆さん、ご存じでしたか?

 ※インフルエンザの解熱後の登校・出社のルールについて詳しく知りたい方は「月曜に解熱したら水曜に登校・出勤してもいい?」をご覧ください。

予防接種を打っていない、効果に疑問がある、というあなたへ

 不幸にしてインフルエンザにかかってしまった方の中には、予防接種を受けていなかった人もいるかもしれません。インフルエンザウイルスは常に変異を続けているため、予防接種を受ければ100%かからない、というわけではありません。そのほかにも、予防効果に影響を与える要因がいくつかあるため、ワクチンの効果については様々な解釈がなされています。

 インフルエンザワクチンに価格に見合う効果があるのかどうかは、誰もが気になるところ。まずは、ワクチンの特性、期待できる効果と限界を正しく理解した上で、接種を受けるかどうかを決めたいものですね。

 ※インフルエンザワクチンの効果に影響を与える7つの要因について詳しく知りたい方は「値上がりするインフルエンザ予防接種、価格に見合う効果はある?」をご覧ください。

流行状況はこちらの特集をチェック!

 今シーズンのインフルエンザ流行情報は、「インフルエンザ総特集」で逐次紹介しています。日々、色が塗り替わる流行マップも掲載。ぜひチェックしてみてください!

この記事は、2016年2月19日に掲載した記事を一部再編集したものです。