インフルエンザにかかりやすい人ってどんな人?
今さら聞けないインフルエンザの話〔その1〕
三和護=日経メディカル
2015年~2016年シーズンのインフルエンザ流行速報から、知っているようで知らないインフルエンザの基礎知識まで、この特集で一挙解決! インフルエンザ流行マップはこちらで毎日更新中です。
Q インフルエンザにかかりやすい人とかかりにくい人がいると聞いたことがあります。抵抗力の弱い幼い子どもや高齢者がかかりやすいのは分かりますが、私のような働き盛りの世代でも、かかりやすい人がいるように思います。この違いはなぜ起こるのでしょうか。(40代男性)
A 子どもや高齢者に限らず、そのシーズンに流行しているインフルエンザウイルスに対する「抗体」を十分に持っていない人は、ウイルスを排除する力が弱く、インフルエンザにかかりやすいと考えられます。
流行するウイルスに対する抗体を持っているかどうかがカギ
「抵抗力が弱い」ということは、身体に侵入したウイルスなどの病原体を排除する力(=免疫力)が十分ではない状態と理解できます。例えば「抗体が不十分」などという文言を耳にしたことがあると思います。抗体は、人間の体の中で特定の異物(病原体やアレルギーの原因物質など)に結合し、排除するために重要な役割を果たしますから、その病原体に対する抗体を十分に持っているかどうかで、かかりやすい人やかかりにくい人が出てくるのです。
つまり、流行すると予想されるインフルエンザウイルスに対する抗体を持っているかどうかを調べられれば、感染リスクの高い人、または低い人が分かることになります。
国は毎年3月になると、次の冬のインフルエンザワクチンに使うウイルス株を決めています。国立感染症研究所(以下、感染研)が主導して、流行する可能性が高いと考えられるウイルス株の中からワクチン製造に使うウイルス株を選定しています。
今シーズンのワクチンに採用されたウイルス株は図1の通りですが、例えばAH3型(香港型)では、「A/Switzerland/9715293/2013」という名称の株が選ばれました。ワクチン株に選ばれたこれらのウイルス株が、今冬に流行する可能性が高いインフルエンザウイルスということになります。