胸もほぐす「筋膜マッサージ」で肩こり知らずの体に
肩こりはうつ病にも関連!「軽視せずに正しく向き合う」こと
二村高史=フリーライター
鎖骨の上下のくぼみを指で押さえて癒着を取る
1.鎖骨押さえ回しエクササイズ
前回ご紹介した「肩甲骨押さえ回しマッサージ」をアレンジしたメソッド。鎖骨の上と下を人差し指から薬指までの3本で押さえながら、腕を回す。
「鎖骨のまわりには、首や肩から伸びる小さな筋肉が何層にも重なっていて、筋膜の癒着が起きやすい」(磯﨑さん)。鎖骨の上下のくぼみを押さるようにして、腕をぐるぐる大きく回す。指先で押さえる場所を左右に少しずつずらしながら腕を回すと効果的。鎖骨の上側をほぐしたら、次に下側も同様に行う。ビリビリとしびれる刺激があれば、効いている証拠だ。
マッサージを終えると、肩の周辺がスッキリとほぐれているはずだ。かなり肩が凝っていたことに気づくだろう。
肋骨の内側に指をめりこませながら深い呼吸を繰り返す
2.横隔膜ゆるめマッサージ
横隔膜は呼吸にかかわる器官で、息を吸うと下がり、吐くと上がる動きを繰り返す。ところが、背中を丸めがちな姿勢を続ける生活が長くなると、肋骨の間や胸の周りにある筋肉が筋膜と癒着していることが多い。
すると、体の前側が縮まりがちになり、呼吸も浅くなるために、横隔膜がしっかり動かせなくなる。そこで、肋骨の一番下部(右の写真参照)から指を内側にめりこませるようにしてつかみ、深い呼吸を繰り返す。指を支点として筋肉全体にテンションがかかるため、大きな呼吸とともに腹部や胸周りにある筋肉と筋膜の癒着がほぐせる。
「深い呼吸ができる理想的な体になれば、姿勢も整い、それが肩こりの解消にもつながります。呼吸を深くするコツは、まず、息をしっかり吐き切ること。『これ以上、吐けない…』というところまで息を吐く習慣をつけていけば、それに呼応して吸う力もだんだん上げていけます」(磯﨑さん)。
はじめは指を肋骨下部の内側に押し込めず、やや痛みを感じるかもしれない。だが、深い呼吸を繰り返し、腹部や肋間にある筋膜がほぐれてくると、指先も深く入るようになるはず。横隔膜がきちんと上げ下げできるようになってたきた証拠だ。
*次回は、肩こりを徹底的に撃退するための「生活習慣」について取り上げます。ぜひご覧ください。
(写真:村田わかな/イラスト:三弓素青/モデル:増田雄一=HEADS)
I.P.F.研究所主宰
