「これ、健康に悪い…」その反省が病気を招く?
第3回 疲労と疲労感は別物。疲労感の軽減を考えよう
亀田圭一=コンディショニングトレーナー、BODY TIPS代表
「病は気から」という本当の意味
ところで、私は、ヨーロッパで盛んな自然医学という考え方を学びました。ヨーロッパの多くの国では、具合が悪くて医師に診てもらうと、まずそれは伝統的な療法で治せるものなのか、それとも現代医学の薬や外科的な治療が必要なのかが判断されます。そして、7割ほどの患者さんは、自然療法科で治療を受けます。薬を必要以上に使うことなく、人間がもともと持ち合わせている自然治癒力を最大限に活用する発想です。
この自然医学によれば、病気のほとんどはその人の「ものの考え方」に由来しているされています。確かに、私のところにいらっしゃる患者さんを見ていると、それは納得できます。
「こういう生活ばかりしていて、ガンになったらどうしよう」「こんなものばかり食べていて糖尿病になったらどうしよう」という考え方をしている方が、実際に病気になっていることが多いのです。いわば、自分で病気を呼び込んでいるのです。
まさに昔からいわれている「病は気から」ではありませんか。
まだ医学的なエビデンスはありませんが、こうしたものの考え方はホルモンの分泌に深くかかわっていると考えられます。ここでは詳しい説明は省きますが、精神的なストレスが多くかかる現代社会では、快をもらたすドーパミンや興奮したときに分泌されるアドレナリンが、平穏をもたらすセロトニンにくらべてどうしても過剰気味です。
もちろん、現代社会で生き抜くにはドーパミンやアドレナリンが必要なのですが、多すぎてバランスを崩してしまっては、さまざまな不調や病気を招く原因となってしまいます。
前回(参照記事:『筋肉を鍛えても「凝り」や「痛み」はなくならない』)は、カラダにとって筋肉のバランスが大切だと述べましたが、心もまたバランスが大切なのです。心のバランスを保つことができれば、ホルモンのバランスを維持できて、人間にとって大切な「欲」を失わずにいられるのだと思います。
心のバランスをセルフチェックする
では、心のバランスがとれているかいないかは、どこでチェックできるのでしょうか。
一番わかりやすいのは、「~をやらなければならない」と思った時点でバランスが崩れているということです。やりたくないこと、気が進まないことをやらなければならないと考えただけで、かなりの精神的なストレスがかかっており、心のバランスは崩れかけています。
もう一つ、それに関連するのですが、「やりたくないことを断る理由を考えている」ときも、かなりのストレスがかかります。「上司に休日のゴルフを誘われたのだけれども、どうやって断ろうか」と考えているときなどはその典型です。
そこから脱却する方法は簡単です。やりたくないことはやらなければいいのです。もちろん、あなたがやらないことで、誰かがひどく迷惑を被るならば話は別です。でも、はたから見ていると、往々にして「それで誰が困るの?」という程度のことで悩んでいる人があまりにも多いのです。
すると、「そうはいったって、世の中は自分の思うようにはいかないんだよ」と反論する方もいるでしょう。そんな人に対しては、こうアドバイスしたいと思います。
「うまくいくことしか考えない。何を選択しても最後はうまくいく」と考えるようにするのです。私自身、この思考に変えたときから、何もかもがうまくいくようになりました。好きなことだけをやるようにしたら、いいことしか起こらなくなったのです。
別に、今すぐ会社を辞めろ、組織から抜けろなどといっているのではありません。会社のなかでも、自分のやりたいことだけをやることは可能です。どうしてもそれが認められないのならば、それはそのときに身の振り方を考えればいいでしょう。
いずれにてしも、心のバランスをとる大切なマネジメントの方法は、「好きなことだけやって生きればいい! 」。これにつきると思います。
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