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あなたの身近にもある「発がん性物質」

自然界に存在するものから、体内で生成されるものまで多種多様

 仲尾匡代=医療ライター

国際機関が発がん性についてチェックしている

 こうした発がん因子を評価し、そのリスクの高さに準じて分類したのが、「IARC発がん性リスク一覧」である。IARCでは、化学物質、化合物、ウイルス、菌、薬、生活習慣、従事する職業といった発がん因子に関する研究の科学的根拠を検証し、下記のように分類して評価・公表している。

  • グループ1  人に対して発がん性がある
  • グループ2A 人に対して発がん性がおそらくある
  • グループ2B 人に対して発がん性が疑われる
  • グループ3  人に対して発がん性があると分類できない
  • グループ4  人に対して恐らく発がん性はない

有益性ゼロの発がん性物質をまず避ける

 IARC発がん性リスク一覧を見ると、グループ1だけでも、100以上の因子が列挙されている。

 また、発がん性物質の中には、半面、人に有益に働くものもある。紫外線や放射線もしかりだ。放射線治療やX線検査で得られるメリットを考慮すると、これらの照射が必要になる場合もある。

 つまり、発がん性物質を避けることばかりを考えていても、現実的には生活が難しい。また、これらを避けていれば、がんの発症を避けられるかと言えば、必ずしもそうではない。

 「がんの発症メカニズムは複雑です。がん予防のためにはっきり言えるのは、タバコやアスベスト(石綿)のように“体にとって有益な面がない”発がん性物質は徹底して避けるべきということだけです」(黒木先生)。さらに、がん予防の基本は、禁煙、節酒、運動、肥満予防につきるという。

 いたずらに発がん性物質におびえるのでなく、予防を意識した生活を送ることが、最も現実的ながん予防の選択肢といえそうだ。

黒木登志夫(くろき としお)先生
日本学術振興会学術システム研究センター相談役
黒木登志夫(くろき としお)先生 東北大学医学部卒、国際がん研究機関(フランス、リヨン市)勤務ののち、東京大学教授、岐阜大学学長、日本癌学会会長を歴任。専門は細胞生物学。著書に「がん遺伝子の発見」(中央公論社)、「がん細胞の誕生」(朝日新聞社)などがある。

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