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「腸内フローラ」って何? これしだいで健康にも病気にもなるって本当?

様々な病気との関係も指摘される“微生物群”の実態とは

 梅方久仁子=ライター

2015年2月、NHKスペシャルで取り上げられ大きな反響を呼んだ。こちらは、NHKスペシャル取材班が執筆した本『腸内フローラ10の真実』(主婦と生活社)

 2015年2月、NHKスペシャルで「腸内フローラ」が特集され、大きな反響を呼んだ。名前は聞いたことがあるが、いったい何のことなのか? 何がすごいのか? 疑問に思っている人も多いだろう。ここで解説しよう。

 人間の腸管には、「腸内フローラ」または「腸内細菌叢(そう)」と呼ばれる微生物群が住みついている。大部分は細菌で、数百種で100兆個以上、重さにすると約1.0~1.5kgにもなる。

 「フローラ」は生物学では“植物相”を意味する。以前は微生物が植物の中に分類されていたこと、多様な微生物群の共生がイメージとしてお花畑にぴったりということで、腸内フローラと呼ばれるようになった。ただ、現在、研究者の間では、植物に限らず動物や土壌細菌まで含む生物群系を表す「マイクロバイオータ(microbiota)」という語が一般的だ。


全身の健康に影響を与え、自閉症、うつなど様々な病気との関係も指摘

 腸内フローラの存在や、それが様々な病気に関わりがあることは、古くから知られていた。しかし、体外での腸内細菌の単独培養が難しいことなどがあり、その実態はよく分かっていなかった。近年、遺伝子配列の解析技術が進歩し、大便の中の細菌の遺伝子を解析することで、どんな細菌がどのくらい存在するかが分かるようになり、急速に研究が進んできている。

 その結果、腸内フローラは免疫機能や代謝機能をコントロールし、全身の健康に影響を及ぼすことが分かってきている。例えば、腸管の免疫細胞を刺激して外敵を排除する態勢を整えたり、逆に過剰な免疫を抑えてアレルギー反応を抑制したりする。腸内フローラの作り出す物質が、肥満、動脈硬化、糖尿病、発がんなどに関わることも分かってきた。自閉症、うつ、統合失調症のような精神疾患との関係も指摘されている。

腸内フローラにとって良い食べ物は?

(©JElena Elisseeva-123rf)

 腸内の細菌は、大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分かれる。細菌の働きは多様で、常に「善玉菌」が良く「悪玉菌」が悪い働きをするわけではないが、健康のためには「善玉菌」が多めで「悪玉菌」が少なめのバランスが大切だ。善玉菌を増やし腸内フローラを良い状態に整えるには食生活が重要で、ヨーグルト、乳酸菌飲料、食物繊維、難消化性オリゴ糖などの摂取が推奨されている。また、また、不必要に抗生物質を飲むと腸内フローラが乱れるので、かぜなどで安易に飲まない方がいい。また、潰瘍性大腸炎では、家族など健康な人の大便から採取した腸内フローラを患者の腸管内に直接入れる糞便移植が一部で試みられ、治療成果を上げている。ただ、糞便移植については、大便には有害物質も含まれるとして、安全面を疑問視する専門家もいる。

 腸内フローラの状態を知るために、便を送ると遺伝子解析法で細菌構成を調べてくれるサービスも開始された。原稿執筆時点では企業向けのサービスだが、近い将来、個人でも利用できるようになりそうだ。

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