常に揺れてるように感じる…「地震酔い」ってナニ?
揺れていないことをつるした5円玉で視認し、不安感を和らげる
内藤綾子=医療ジャーナリスト
精神的な不安感が悪化につながる

ただし、身体的な原因に加え、「また揺れに襲われるのでは」という常に付きまとう不安感が、症状悪化に大きく影響していることは間違いないようだ。
不安感には、感覚閾値(かんかくいきち)を下げる作用がある。「閾値」とは、人間が興奮するのに必要な刺激の最小値で、簡単に言うと“感じやすさ”のこと。感覚閾値が高いと「地震が来ても何とかなる、大丈夫」と思えるが、低いと「また地震が来たらどうしよう、これ以上被害が大きくなったら…」と怯えながら過ごすようになる。閾値が下がった状態では、ちょっとしたことで過敏になり、地震酔いの症状が出やすくなってしまう。
五島先生によると、「揺れてる!」とめまいを自覚しても、周囲の人から「揺れてないよ」と指摘される場面を繰り返すと、「自分が変になったのでは…?」と不安感が増幅し、“地震酔い”がまた起こるという悪循環に陥るそうだ。「たいていは、揺れた感覚は1分ほどですが、ニュースなどで地震の悲惨な映像を繰り返し見たりすると、精神的ストレスも相まって、揺れた感覚がずっと続く人もいます」(五島先生)。そのような状態になると、家から出ることが怖くなって閉じこもり、うつ病につながる可能性なども出てくる。
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