過剰なスマホ利用が招く「ストレートネック」とは?
梅方久仁子=ライター
最近、“ストレートネック”の人が増えているという。
健康な人の首は、7個の頸椎が前に向かってゆるやかにカーブして連なり、頭を支えている。このカーブがなくなり、首がまっすぐ前に突き出すようになった状態がストレートネックだ。横から見ると、猫背で頭が前に出ているように見える人が危ない。不安な人は、壁にかかとと背中をつけてまっすぐ立ってみよう。この姿勢で後頭部が壁につかない場合は、ストレートネックの可能性が濃厚だ。
ストレートネックになると、頭を支えるために肩から首の筋肉が常に緊張することになり、しつこい肩こりや首の痛みが起こってくる。重症になると、腕のしびれ、頭痛、めまいなど、全身の体調不良につながっていくこともある。
前屈みの姿勢を長時間続けるのは避けよう
ストレートネックの原因は、前屈みで手元をのぞき込むような姿勢を長時間続けることにある。大人の頭の重さは4~5kgほどもある。前屈みの姿勢を続けていると、周辺の筋肉が頭の重さを支えきれずに頸椎のカーブが失われていく。それが繰り返されると、やがてその状態が固定してしまう。
ストレートネックが増えた背景には、IT機器の普及がある。特にノートパソコン、スマートフォン、ゲーム機などは、膝の上に置いてのぞき込む姿勢になりやすい。仕事で1日中パソコンを使いつつ、オフタイムはスマホに熱中というのでは、首が休まる暇がない。
ストレートネックを予防するには、前屈みの姿勢をなるべく避けることだ。パソコンは姿勢を正して座ったときに、ほぼ目の高さになるようにディスプレイの位置を調整しよう。スマホは両手で支えるなどして、目の高さ近くまで持ち上げて使うとよい。また、ときどき休憩して首や肩のストレッチを実行しよう(やり方については、下記「呼吸筋ストレッチで胸と背中を刺激、美しい姿勢に」や「胸と背中を緩めて鍛えて“美姿勢”に!」をご参照ください)。
いったんストレートネックになっても、適切な治療と生活習慣の改善で元に戻すことはできる。しつこい肩こりや首の痛みを抱えている人は、一度整形外科などで相談するといいだろう。
