シャラポワが違反? 「ドーピング」って何?
市販薬やサプリメントでもアンチ・ドーピング規則違反になるものも
田村知子=フリーランスエディター/中西奈美=日経Gooday
市販薬やサプリメントにも規則違反になるものがある

シャラポワさんのように医師から処方される薬(医療用医薬品)だけがドーピングとみなされるわけではない。市販薬やサプリメントであっても、禁止物質が含まれていれば、アンチ・ドーピング規則違反となる。実際に、国内で流通している市販薬の中にも、禁止物質が入っているものがある。
例えば、総合感冒薬(かぜ薬)の多くには、禁止物質であるエフェドリンやメチルエフェドリンなどが含まれている。胃腸薬にも、興奮剤と見なされるストリキニーネが配合されているものがある。また、サプリメントや栄養ドリンクは「食品」であるため、成分の表示義務がなく、ラベルには記載されていなくても禁止物質が含まれている可能性が考えられる。
JADAのシニアマネージャー・打谷桂子さんは「アスリートは禁止物質や禁止方法を使用しないよう十分に注意し、自身が摂取するものに対して責任を持つことが求められます。たとえ意図せず禁止物質を使用したとしても、『知らなかった』では済まされません」と話す。
アンチ・ドーピングに薬剤師の力を借りる
大規模な競技団体に所属するアスリートであれば、どのような物質や方法が禁止されているのか、最新の情報を競技団体経由で知ることができる。市販薬などに禁止物質が含まれていないかを、競技団体の医師や薬剤師に相談することもできるだろう。しかし、そうした環境にないアスリートの場合、禁止物質や禁止方法を避けるためのアドバイスを得ることが難しかった。このような状況を踏まえて育成された薬剤師が「スポーツファーマシスト」だ。
スポーツファーマシストは、JADAが2009年に設立した「公認スポーツファーマシスト認定制度」で認定を受けた薬剤師で、最新のアンチ・ドーピングに関する知識や情報を持っている。「今では全国の病院や薬局、ドラッグストアなどに約6300人(2015年4月現在)が在籍しています」(鈴木さん)。スポーツファーマシストに相談したい場合は「公認スポーツファーマシスト検索 」で全国のスポーツファーマシストが検索できる。
このほか、Global DROなど、ウェブサイトやスマートフォンから薬の成分に禁止物質が含まれていないかを検索できるシステムを活用することも有効だ。
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