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今こそ受けよう、がん検診

人間ドックのがん検診は受ける必要がない?

人間ドックの目的は早期発見、自治体検診は死亡率低下

 田村 知子=フリーランスエディター

「科学的根拠がない」=「有効性がない」とは言い切れない

 がん検診を受けるときに重要なことの1つに「科学的根拠の有無」が挙げられます。対策型検診では、この科学的根拠が確実にあるかどうかが、推奨される条件ともなっています。自治体検診における科学的根拠とは、検診の目的とする「社会全体のがん死亡率を下げる、あるいは個人のがん死亡リスクを確実に下げること」であり、これが最大のメリットと考えられます。

 また、これに加えて、受検者が被る痛みや出血などの偶発症、実際にはがんではないのにがんかもしれないと判定される偽陽性による精神的不安といったデメリットが最少にできる…といった点も、重要なポイントとして挙げられます。

 健康な人を前提に行う検査ですから、科学的根拠に基づいて考えることは大切です。自治体検診に組み込まれている検診は、死亡率の低下を裏付ける複数の確実な科学的根拠があることを意味しますが、新しい検診法ではそれに足るだけのデータがありません。そのため、理論上は有効性があると推測されていても、データの収集・分析に相当な時間がかかるため、死亡率の低下を証明できていない新たな検診法はすべて対象外となってしまいます。

 「『死亡率を下げる科学的根拠がある』の反対は、『死亡率を下げない』でも『科学的根拠がないから無意味』でもないんです。極端な例になりますが、体をまったく鍛えていない軟弱な医師と、厳しい鍛錬を積んだ力士の頂点に立つ横綱がケンカをしたら、どちらが勝つか―という問いについて考えてみましょう。多くの人は『横綱が勝つ』と考えますよね。でも、医学の世界では、横綱の勝利を推測する上での理論上の根拠(体重や筋肉量の差など)はあっても、実際にケンカした結果(データ)がなければ、『横綱が勝つかは分からない』との結論になるのです」(森山さん)

 このように、自治体検診で対象から外れた検診を、人間ドックでは受けることができます。「死亡率を下げるという十分な科学的根拠は認められていませんが、経験と理論上の根拠を基に個々の医師が判断して、医療機関で採用しています」(森山さん)。

 つまり、対策型検診と同等のエビデンスが担保されていないからといって、任意型検診を「受けても意味はない」「受ける必要はない」と考えるのは少々安易と言えるでしょう。そもそも、任意型検診の目的は個々の人の早期発見にあり、集団としての死亡率の低下ではありません。任意型検診を受けるか否かは、この後に触れるように、検診に求める目的や検診の長短を勘案しながら、個々人が判断すべきことなのです。

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