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今こそ受けよう、がん検診

1回きりはダメ! がん検診は繰り返し受けることで利益がある

効果的ながん検診の受け方は?

 田村 知子=フリーランスエディター

検診を受ける場合は、メリットとデメリットを理解しておく

 任意型検診は、国が推奨する対策型検診とは違って、科学的な根拠が明らかになっていません。発見率が高いなど大きなメリットが得られる可能性がある一方で、過剰診断による不必要な検査や治療といったデメリットが発生する可能性もあります。対策型検診と比べると基本的に積極的に勧められるものではありません。

直腸からS状結腸までのS状結腸内視鏡検査では、大腸がんの死亡率と罹患率の低下が証明されています。(©ebastian Kaulitzki-123rf)
直腸からS状結腸までのS状結腸内視鏡検査では、大腸がんの死亡率と罹患率の低下が証明されています。(©ebastian Kaulitzki-123rf)

 しかし、そのような任意型検診の中で、例外とも言えるのが大腸内視鏡検査です。とりわけ直腸からS状結腸までのS状結腸内視鏡検査では、大腸がんの死亡率と罹患率の低下がここ2〜3年で証明されるに至りました(50歳以上)。「この内視鏡検査を1度受けたあとに、科学的根拠が長期的にも認められている便潜血検査を定期的に受けていけば、大腸がんの死亡リスクが大きく低下する」と考えられ、英国で導入が始まりました。

 大腸全体を検査する内視鏡検査についてはまだ、大腸がんの死亡率を下げることが完全に証明されていませんが、有効性は確実にあると考えて間違いありません。ただ、偶発症の不利益という問題があるので、安全に行える専門医で任意型検診として受けることが積極的に勧められます。なお、現在の対策型がん検診では、便潜血検査は1年に1度受けることが推奨されていますが、2年に1度の間隔でも有効と証明されています」(斎藤さん)。

 胃においてはこれまでは科学的根拠がなく、任意型検診として実施されていた胃内視鏡検査は、ようやく有効性があることが認められ、来年度から対策型として推奨される予定です(50歳以上を対象に、2年に1度実施予定)。乳がん検診については、これまで視触診とマンモグラフィの併用が推奨されてきましたが、来年度からは科学的根拠の観点からマンモグラフィ単独による検診が基本となります。注目されている超音波検査は日本での大型研究が進んでいますが、死亡率減少効果を含め、さらに検討が行われます。

 一方、一部の市区町村のがん検診などで実施されている胃がん検診のペプシノゲン検査とヘリコバクター・ピロリ抗体検査は死亡率の減少効果の研究がなく、また実施体制などを引き続き検証していく必要があります。

 以上のように、現在科学的根拠が不十分な任意型検診であっても、しっかりした研究によって死亡率を下げる科学的根拠や実施体制が確立されれば、対策型検診として推奨されるケースもあります。

 死亡率低下という科学的根拠が確立していない検診でも、とにかく早くがんを見つけたいという個人的なニーズもあるでしょう。その場合も実は科学的根拠が唯一確実な目安であることを理解したうえで、自分が受ける検診の特徴、メリット・デメリットを判断して受けることが大事なのです。

監修/斎藤博さん(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部部長)

最終回(2015年11月30日公開予定)は、任意型検診はどのように受ければよいかについて東京ミッドタウンクリニック健診センター長の森山紀之さんに話を聞きます。
斎藤博(さいとう ひろし)さん
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部部長
斎藤博(さいとう ひろし)さん 群馬大学医学部卒業。弘前大学助教授を経て、2008年から現職。2003~2008年には厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」にて構成員を務めている。専門分野はがん検診の有効性評価および精度管理。

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