1回きりはダメ! がん検診は繰り返し受けることで利益がある
効果的ながん検診の受け方は?
田村 知子=フリーランスエディター
がん検診は単発ではなく適切な間隔で受ける

対策型検診では、検査を受ける年齢や間隔が決められています。これは、検査方法と同様に、死亡リスクを下げるという科学的根拠に基づき、受ける人のデメリットが最小限になるよう設定されたものです。がん検診に限らず、検査の精度は100%ではないからです。
例えば、子宮がん検診を除く、4つのがん検診は、40歳以上を対象としています。40歳未満の低年齢層では効果が期待できず、一方、不利益は発生するので、対象外となっています。
検診間隔も、子宮がん検診と乳がん検診は2年に1回、そのほかの3つのがん検診は1年に1回となっていますが、これも受ける人のデメリットが最小かつ、大きな効果が得られる間隔が採用されています。受け過ぎは実際のメリットの上乗せより、デメリットのほうが多くなりがちで、対策型検診の趣旨から考えれば勧められません。
検診間隔が開きすぎると、検診を受けたあとに発症したがんを見逃すことになり、検診間隔が短すぎると、医療被ばくの問題など大きなデメリットを被る可能性があります。
また、よくあるのが、1度の検診で「異常なし」と言われて安心してしまい、その後の検診を受けないケースです。「がんはいつできるか分かりません。ですから、決められた年齢や間隔を守って、定期的に繰り返し受けていくことが大切です」(斎藤さん)
それでも時には、見つけにくい部位にあったがんが見逃されたり、次の検診で急速に進行したがんが見つかったりするケースもあります。
先日、毎年がん検診を受けていた女性タレントの北斗晶さんが、乳がんの外科手術を受けたニュースが多くのメディアで取り上げられました。報道によれば、検診では見つけにくく進行が早いタイプのがんだったと推測されます。がん検診を受けていれば100%安心ということはありません。検診結果を過信せずに、何らかの症状や異変に気づいたときには、すみやかに医療機関で受診することが大切です。