アフターケア~腕の筋肉痛を軽減する「アイシング」「腕振り」
ボルダリングを終えた後、手や腕の疲れをそのまま放置すると、翌朝パンパンに腫れてしまいかねない。そこで、尾川さんがお薦めするのが「アイシング」だ。
肩や腕、手など、筋肉がほてったり、ヒリヒリしているところを氷水に浸したり、その部位に氷嚢を当てて冷やしたりすることで、微細な炎症が緩和されて痛みを軽減できるとともに、冷やして収縮した血管が元の温度に戻るときに拡張して血流が増え、疲労物質を流してくれるので回復力も高まるという。
「疲労回復のためのアイシングは、深部まで冷えたら冷やすのをやめ、今度はその部位を動かして温めるのがコツ。循環能力を活発にして、疲労回復を促します」(尾川さん)。
「腕をブラブラ振る『腕振り』も、筋肉を緩めて回復を早めるのに有効」(尾川さん)だ。「こうして腕を振ることを『シェイク』と言って、難易度の高い壁を登っている途中でシェイクして筋肉の疲れを回復させることを私もよくやっています。そんな風にリアルタイムで効果があるのはもちろん、アフターケアとしても、アイシングやシェイクをやるのとやらないのでは疲れの回復度合いが全く違いますよ」(尾川さん)。
実施中の注意点~ケガをしない、させないために
降りるときは、下を見て落下地点を確認
一番上まで登り切ったら、途中まで少しおりてから飛び降りること。上から飛び降りるときや落ちてしまいそうなときは、その前になるべく下を見るなどして、落下地点に人がいないかどうか確認することが大事だ。人がいたり、物が置いてあったりすると、ぶつかってケガをしたり、させたりすることもあるからだ。
「落ちる時は、自分が思っている以上に大きな放物線を描くことがあるので、自分が落ちそうな場所から1メートル圏内に人がいないかどうかチェックしましょう。ジムによっては人が落ちそうなエリアの境界線に赤いテープなどを貼ってあるところもあるので、そういったものを目印にするのもいいでしょう」(尾川さん)。
膝のクッションを使って両足で着地
飛び降りる際は、膝のクッションを使って両足で着地すると衝撃を和らげることができる。お尻から落ちると、腰をいためたり、ついた手をケガすることもあるので要注意。前傾壁を登っている人の中にはお尻から落ちる人もいるようだが、前傾壁でも必ず両足着地を心がけたい。
「特に、最終的に岩場に行きたい人は、両足着地を身に着けていないと危険。受け身ができないのに柔道をやっているようなもので、どうしても尻もちをついてしまう場合は、無理して登っているのでは?と登り方を見直してください」(尾川さん)。
また、壁ぎりぎりに着地すると、誤って頭を壁にぶつける危険性もあるので、着地点は壁から少し離れたところを選ぼう。特に前傾壁の場合は前かがみに着地すると、頭を打ってしまうので気を付けたい。
ホールドのネジ穴に指を入れない
壁にくっつけられた石を「ホールド」と呼ぶが、それを留めているネジの穴に指を入れると、思いがけず落ちた時などに指を傷めてしまったり、抜けなくなってしまうこともあるので、ネジ穴に指を入れてはいけない。
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