ホールドの記憶よりムーブの仮説を
ボルダリングジムに何度か足を運んでいると、ジムのスタッフが壁を指しながら、「まずこのホールド、次にこれ、その次にこれ…の順で登ってみて」などと、その場でルートを作って登るよう指示する場面に出くわすことがないだろうか。
壁一面にたくさんのホールドが散らばっている中で、1番目が何色の何番、2番目が何色の何番…と思っても、なかなか覚えられるものでもないが、「色や番号で覚えるのではなく、指示されたルートをオブザベーションしながら、ムーブで覚える癖をつけましょう。大体は順当な動きですが、ときどき、クロスやとばしなどが入ってくるので、ここでクロスする、ここでとばし、ここでアンダーをとる…といったように覚えると楽ですよ」と尾川さん。
尾川さんは選手時代、コーチに「まずこれ、次にこれ、そしてこれ…」と100ものホールドを指示されて壁を登る練習をしたこともあるそうだが、「さすがに一度に100のホールドは覚えきれません。そんなときは、動きをイメージしてルートを頭に入れました」と言う。もちろん、アマチュアが一朝一夕でできることではないが、登るたびにオブザベーションを繰り返せば、徐々に身に付いていくはずだ。
オブザベーションとは、自分がどう動いてゴールまで到達するか、ホールドやムーブをトータルで考えながら組み立てる作業だといえる。
「壁の上でいかにスムーズに動くか、いかに迷う時間をなくすかがボルダリングでは最も大切です。スムーズに動いていたら無駄な時間がなくなり、体力を節約できます。そのためにも、登る前のオブザベーションが鍵なんです」と尾川さんは強調する。
登る前にはオブザベーション、登った後にはその振り返り…。それを繰り返してオブザベーションの精度を上げていこう。
(写真:水野浩志)
(衣装協力:アディダスジャパン、ネルソンクライミングジャパン〔MAD ROCK Flash 2.0〕/ 撮影協力:ボルダリングジムHAGO〔大阪府吹田市〕)
■尾川とも子のボルダリング入門
第1回 東京五輪で注目のボルダリング、運動オンチの40代でも楽しめる?
第2回 ボルダリングを安全に楽しむ!お薦め準備体操とNG行動
第3回 初心者必見!ボルダリングのルールと基本の動き
第4回 ボルダリング初心者が覚えたい、ホールドの効果的な持ち方
第5回 ボルダリングシューズ、初心者は「痛くない」を重視して!
第6回 ボルダリングで次のホールドに手が届かないときの対処法
第7回 足を乗せにくいホールドの攻略法
プロクライマー

ブログ:尾川とも子のはーとふるボルダリング
