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尾川とも子のボルダリング入門

ボルダリングの基本ムーブをマスターする

第9回 静的・動的を使い分けて戦略的に登る

 鶴見佳子=フリーライター

静的と動的の中間派「デッドポイント」

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 左の写真にように、ホールドは手の届きそうな範囲にあるのに、足を今の位置から離せないし、両手も離せない――といった、にっちもさっちもいかない場面に出くわすこともある。

 そんな時は、次のホールドまでの距離を見極め、壁から体をいったん離してためをつくった後、一気に体を引き寄せつつ手を壁方向・上方向に動かし、体が落ちる寸前に次のホールドをつかむ。

 これが、静的と動的の中間派、「デッドポイント」というムーブだ。

写真左は、にっちもさっちもいかず、壁に体が張り付いた状態。落ちそうだが、いったん体(特に上半身)を壁から離してみる(中央)。すると腕の伸びるので、その分“ため”ができる。そこから体を壁に向かって一気に引き寄せ、壁に体が最も近付いた瞬間に右手をホールドから離し、上方のホールドをつかみとる(右)。
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 ホールドをつかみ損ねるとそのまま下に落ちてしまうので、初心者には、怖いテクニックに思えるかもしれない。だが、ボルダリングの核心(課題の中で特に難しい部分)のほとんどがデッドポイントと言っていい。

 「そのためデッドポイントを制する者はボルダリングを制すると言われるくらいです」と尾川さん。デッドポイントをうまくできるようになるには、練習あるのみだ。

 右利き、左利きの違いはあるだろうが、日頃から片手だけで(もう一方の手で体を支えない状態で)ホールドをつかみ、その手を一瞬離して上方のホールドをつかみにいくといった練習をしておこう(下の写真)。

 ホールドまでの距離を見定め、ホールドを取るタイミングを予測することが大事なので、何度も繰り返して練習し、デッドポイントのタイミングを体に染み込ませる。

デッドポイントの練習。片手でホールドを持ったまま体をいったん壁から離し(左から2番目)、体を壁方向に一気引き寄せる(3番目)。体が最も壁に近づいた瞬間に、手をホールドから離して上方向に延ばしてホールドをつかむ(右端)。ホールドをとり損ねると下に落ちるので、壁の低い位置で行うこと。
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 「ボルダリングではアプローチの仕方がたくさんあり、どれが正解というわけではありません。自分がどんな選択をするのか、その時々でベストな選択ができればいい。そのためにも基礎技術を蓄えていくことが大切」と尾川さんは話す。


(写真:水野浩志)

(衣装協力:アディダスジャパン、ネルソンクライミングジャパン〔MAD ROCK Flash 2.0〕/ 撮影協力:ボルダリングジムHAGO〔大阪府吹田市〕)

■尾川とも子のボルダリング入門
第1回 東京五輪で注目のボルダリング、運動オンチの40代でも楽しめる?
第2回 ボルダリングを安全に楽しむ!お薦め準備体操とNG行動
第3回 初心者必見!ボルダリングのルールと基本の動き
第4回 ボルダリング初心者が覚えたい、ホールドの効果的な持ち方
第5回 ボルダリングシューズ、初心者は「痛くない」を重視して!
第6回 ボルダリングで次のホールドに手が届かないときの対処法

尾川とも子(おがわ ともこ)さん
プロクライマー
尾川とも子(おがわ ともこ)さん 宇宙飛行士を目指して進学した早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。在学時の2000年、国体山岳競技に誘われたことがきっかけで、クライマーの道に。2003年、2006年には「Asian X-games」で優勝。その後は自然界の岩場へのチャレンジに魅力を感じ、2008年4月に日本人女性初となる難度V12を達成。2009年秋から女性では前人未到の難度V14の岩に挑み始め、2012年10月に完登した。
ブログ:尾川とも子のはーとふるボルダリング

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