豪太さん、疲れない山登りのコツを教えてください!
第2回 ゆっくり歩いてたまに休む「カメ戦法」なら誰でも山頂に!
高島三幸=フリーライター
へえ~、そうなんですね。
豪太さん もちろん、後ろ向きで下るのは、他の登山者が少なくて、ベテランの登山者が見守ってくれる時、足元が安定していて、見通しが良く、ある程度、道のパターンが予測できている時に限ります。細い道で、木の根っこが大量に出ていたり、曲がりくねった山道ではお勧めできません。でも、広い登山道がずっと続くような下りであれば、後ろ向きでも大丈夫。脚が疲れてしまい、もうこれ以上下れないという人でも、後ろ向きにゆっくりと歩けば、まだ歩くことができるんです。
それはいったいなぜなんですか?
豪太さん 実は人間の骨格は、正面を向いて下りるのには向いていません。膝が逆向きに曲がらない限り、下りのように体重を前にかけながら膝を曲げる動きは不自然なんです。後ろ向きなら、膝が山側に曲がるため、自分の体重が膝に一気にかかることはなく、地面を蹴らなくても済むので、膝にも足首にも負担がかかりにくいんです。
試しに階段を後ろ向きに下りてみるといいでしょう。手すりを持ちながらゆっくりと後ろ向きで降りてみると、思ったよりも安定感がありますし、足へのストレス、膝への負担も前向きに比べて少ないと感じると思います。
山登りの日の朝ごはんは、パンよりご飯がお勧め
登山前や登山中の栄養補給についても教えてください
豪太さん 登山は最もエネルギーを使う有酸素運動です。山で使うカロリーの目安は、「自分の体重×運動時間×5kcal」です。
例えば、私の体重は80kgなので、1時間の山登りで消費するのは、400kcal。往復5時間の山では、その5倍の2000kcalを消費することになります。
それだけで、普段の1日に必要なカロリー量と変わらないですね。
豪太さん そうなんです。ですから、糖質ダイエットをしている人なんかがいきなり山を登ると、「低血糖」になり、途中で体が動かなくなってしまうことがあります。これはとても危険です。登山の時は、自分の体を守るために糖質をちゃんととるようにしてください。
まず朝食で600から800 kcalを目安に摂取し、おやつなどの行動食を準備してこまめに補給しましょう。たとえ2000kcalをとっても、それに相当する量の運動をするので決して太りませんし、続けていくうちに基礎代謝は上がり、筋肉がバランス良く引き締まって痩せてきます。しっかり食べておいた方が、登山後の回復力も高まります。
山歩きで痩せようと思ったら、きちんと食べることが大事なんですね。朝食は何がお勧めですか?
豪太さん ご飯かパンかと聞かれると、ご飯の方がいいかもしれませんね。パンは血糖値を素早く上げる分、吸収も速いのですぐにお腹が空いてしまいます。ご飯やパスタの方が血糖値をゆっくり上昇させる分、腹持ちがいいんです。一方、登山中の行動食には、すぐにエネルギーに変わるパンがいいかもしれません。
おやつは、糖分に加え、筋肉の痙攣を予防するカリウムを含むバナナを持って行くといいですね。ドライフルーツやチョコレートでもOK。カロリーのあるスポーツドリンクも、補食としても考えられます。
- 次ページ
- 持っていくべき水分量の求め方
