救命救急医に聞く! 正しい診断を導くための話し方・伝え方のポイント(後編)
ニーズを伝えれば、満足度が上がる
梅方久仁子=ライター
言葉のキャッチボールをしたい

ところで、どういう症状のときにどういう病院に行けばいいのか、判断する方法はありますか。近所のクリニックがいいのか、大病院に行ったほうがいいのか、いつも迷います。
沖山 軽い病気なのか、危険な徴候があるのかを、医学知識がない患者さんが判断するのは簡単ではありません。迷ったときはどこでもいいから医師に診てもらって判断を仰ぐことをお勧めします。気軽に行けるという点では、近所のクリニックはいいですね。
先ほどのニーズの話と同じですが、そのときに「ひょっとして悪い病気ではないかと気になります」と言えば、医師は不安を解消するような対応をしてくれると思います。「こういう徴候が出ていませんから、今のところは心配しなくて大丈夫ですよ」と詳しく説明したり、または、少しでも問題がありそうなら大きな病院を紹介したりしてくれるでしょう。
なるほど。ただ、いろいろと意見や要望をいうと、いわゆるモンスターペイシェント(身勝手な主張や理不尽な要求をする患者)と思われないか心配です。
沖山 私個人の考えですが、いろいろと要求する患者さんが問題だとはまったく思いません。困るのは、言葉のキャッチボールができないときですね。何を投げても受け取ってくれない人には、対処のしようがありません。医師と患者のコミュニケーションのずれが、「あそこの医者はダメだ」とか「あの患者はモンスターペイシェントだ」ということになるのだと思います。
医師も患者も、互いにコミュニケーションを取ろうという姿勢が必要だと思います。そして、そのために患者さんができることは、やはり自分の要望を言葉にして書き出すことだと思います。
- 次ページ
- 病院を変えるのも一つの方法