救命救急医に聞く! 正しい診断を導くための話し方・伝え方のポイント(後編)
ニーズを伝えれば、満足度が上がる
梅方久仁子=ライター
「ニーズ」を把握して言語化する
沖山 患者さんには、さまざまなニーズがあります。適切な診断を得たとしても、このニーズがうまく満たされないと、不満が残るでしょう。だからこそ、受診に際して「自分の目的を達成するにはどうするか」という視点で考えてみると、医師に伝える内容や伝え方が変わってくるのではないでしょうか。
この目的を達成するためには、まずはもやもやした状態にある「ニーズ」を具体的に把握することです。そのためには、言語化のプロセスが必要です。ニーズを言葉にすると紙に書いて見せることもできるので、言いにくいことも伝えやすくなります。
医師も、「この患者さんはこういうニーズを持っているんだ」と分かれば、「私が提供できるのはこれです」と、やるべきことが明確になります。先ほどの風邪の例でも、「風邪を引いたみたいです」と受診すると、「風邪は薬では治りませんよ。このくらいなら、栄養のあるものを食べて寝るのが一番です」と言われてしまうかもしれません。「明日はどうしてもはずせない仕事があって」と説明すれば、医師の側も「じゃあ、症状を抑える薬を出しましょう」と対応できます。うまくニーズを伝えられれば、受診後に満足できる割合がずっと高くなると思います。
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