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やせる5分おつまみ

コンビニの総菜でもOK 「やせる」酒のつまみ選びで知っておくべきこと【炭水化物編】

PFCバランスを意識し、まずはC(Carbohydrate=炭水化物)を減らす

毎日の晩酌が最大の楽しみという人も多いだろう。肉や揚げ物が好きだから減量はムリ…というあなたに朗報! お酒や脂っこいものをとってもOKのダイエット法がありました。その名は『ゆるやかローカーボ』。コンビニやスーパーで買った総菜をアレンジするだけでOK! まずは、基本編ではPFCバランスを意識してC(Carbohydrate=炭水化物)を少し減らす工夫から。食べてやせよう!

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PFCからなる三大栄養素

 三大栄養素は体を動かすエネルギーの源となるもので、P(たんぱく質)F(脂肪)C(炭水化物)の3つを指す。日本人はエネルギーの約6割を炭水化物でとっているが、炭水化物のとり過ぎが肥満や脂肪肝、生活習慣病の原因ともいわれている。最近では、炭水化物の割合を減らすダイエット法に注目が集まっている。


減らすべきは脂肪ではなく炭水化物

 人気のおつまみといえば、空揚げ、ポテトチップス、チーズなど脂っこいものが定番。やせるためには脂肪を控えなければ…と思いがちだが、「太る原因は、脂肪ではなく炭水化物」というのは、灰本クリニックの灰本元院長だ。

 最近、糖尿病の新たな食事療法として「炭水化物(糖質)制限、ローカーボ」が注目されて いる。これは、炭水化物の摂取は制限するが、ほかは何を食べてもOKというもの。種類を選べばお酒も飲め、面倒なカロリー計算や、食べたいものを我慢するストレスも少ないため継続しやすく、血糖コントロールや減量に効果を発揮する。もちろんお腹を凹ますのにもいい。

 しかし、「日本人の食事はご飯を中心に構成されているため、炭水化物を極端に減らすダイエ ットは、不自然で長続きしません」と管理栄養士で料理家の金丸絵里加さん。「血糖値が高めだったり、軽い肥満が気になる程度なら、1食分の炭水化物を抜く『ゆるやかローカーボ』がお薦めです」(灰本院長)。安全かつ有効に減量するには「炭水化物をちょっと減らす」のがポイントだという。

がんのリスクを上げない「ゆるやかローカーボ」

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夕食のみ炭水化物をカットする「ゆるやかローカーボ」でやせる!

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日本人は食事のカロリーの約60%をC(炭水化物)から摂取しているが、これを45%に制限した場合のP(たんぱく質)とF(脂肪)の変化。(データ:灰本クリニック)
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 この食事法で重視しているのは、カロリーではなく血糖値だ。三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは炭水化物だけで、大量にとると血糖値が急激に上がる。すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが大量に分泌される。インスリンは、別名「肥満ホルモン」。余った糖を脂肪に作りかえ、肝臓や脂肪細胞に蓄える働きがあるため、肥満気味の人は極力分泌を抑えたい。

 「ハードな炭水化物制限は、血糖値や体重を短期間に劇的に下げます。しかし、動物性のたんぱく質、特に赤肉とその加工食品の摂取も急激に増えるため、がんによる死亡率が上がることが明らかになっています」。灰本院長は朝、昼はいつも通り食べ、夕食だけ炭水化物を制限することを薦めている。

 日本人の死因の第1位はがん。たとえ減量や血糖コントロールに成功しても、がんで死んでは本末転倒だ。「高度な肥満もやせすぎもがん死のリスクを高めますが、日本人ではやせすぎの人数が圧倒的に多いので、むしろやせすぎの方が危険です」と灰本院長。「がんで死なない」ことを大前提とするならば、ほどほどにやせるのが賢いようだ。

厳しいローカーボは、がんの死亡率を高める!
炭水化物制限を1(行わない)~10(厳しく行う)のレベルに分け、がんとの関連を調べたところ、男性では制限が厳しいほどがん死が増えた。 (データ:Fung TT et al. Ann Inter Med 2010)
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肥満だけでなく、やせすぎもリスクが高い!
BMI(体格指数)[体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]は22が理想といわれるが、男性の場合、長寿なのはBMI23~27。やせすぎもがんリスクが高い。 (データ:Tugane S.et al. Int J Obes 2002)
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C:「炭水化物-Carbohydrate-」 主食のカットが最も効果的

 炭水化物が多い食品といえば、ご飯、パン、めんなどの主食。また、芋類や一部の野菜も炭水化物を多く含むので注意が必要。主食を減らすと、不足しがちになるのが食物繊維。主食を減らした分、野菜、キノコ、海藻などはしっかりとりたい。

主食の炭水化物量を知ろう!

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炭水化物の摂取は1日180gが目安

 炭水化物は体内で消化されてエネルギー源になる糖質と、消化されない食物繊維から構成されている。このうち、気をつけなければいけないのは糖質の方だ。

 糖質は砂糖以外にも、ご飯、パン、めんなどの穀類、芋類、果物などにも多く含まれている。『ゆるやかローカーボ』では、これら全てをひっくるめて炭水化物を1日おおよそ180gに控えることがポイントになる。今の量から約15%減らすのが目安だ。

 炭水化物180gは主食を1食抜き、糖質の多い芋類のおかずなどを控えることで実現できるという。「主食の量を控えめにして3回食べる方法もありますが、お酒を飲みながらの食事は、気が大きくなりがち。つい食べ過ぎてしまうので、朝、昼は普通に食べて、夕食の主食を完全に抜く方が成功しやすいようです」(灰本院長)。

 主食を1食抜く分、まず、意識して食べたいのが食物繊維を多く含む野菜、キノコ、海藻などだ。「食物繊維はエネルギーにならないだけでなく、糖の消化・吸収を遅らせる働きがあるため、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。意識してたっぷりとりましょう」(金丸さん)。


毎日を楽しむために! お酒の炭水化物と上手につき合うコツ

 仕事後や帰宅後のビールがごちそう! という人は多いだろう。ビール腹が気になる季節の到来だ。「『ゆるやかローカーボ』はアルコールを飲んでもOKですが、炭水化物を多く含むものはお薦めできません」(灰本院長)。

 酒類は醸造酒、蒸留酒、混成酒の三つに大別されるが、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒は炭水化物を多く含む。それは、原料である麦、米、ブドウなどを発酵させてそのまま飲むものだからだ。

 一方、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は原料を蒸留しているため、炭水化物はほとんど残っていない。つまり、蒸留酒は安心して飲めるというわけ。混成酒は蒸留酒に香りや甘みをプラスしたリキュール。梅酒など果実を使ったものは炭水化物が多いので注意が必要だ。

混成酒

ベルモット、梅酒、コアントロー、カルーアなどの甘いリキュールは炭水化物を多く含む。ジンやウオッカは炭水化物ゼロだが、甘いリキュールを加えて作るカクテルは炭水化物が多い。

梅酒 1杯(60mL)

 ⇒ 炭水化物 12.9g

オレンジキュラソー シングル1杯(30mL)

 ⇒ 炭水化物 8.3g

ベルモット(甘口) シングル1杯(30mL)

 ⇒ 炭水化物 5.2g


サワー類などは「ブドウ糖液糖」に注意
市販のサワー類などの表示をみると、「ブドウ糖液糖」が添加されているものがある。これは、でんぷんを酵素でブドウ糖に分解したもので、体内への吸収が早く、血糖値を急上昇させる。甘いお酒は避けたほうが無難。

醸造酒

ビール、日本酒、ワイン、紹興酒など。穀類や果物を発酵させたものなので、炭水化物を多く含む。ビールや日本酒は糖質ゼロの商品も出回っているので、これらを上手に活用するといいだろう。

ビール 1缶(350mL)

 ⇒ 炭水化物 10.9g

紹興酒 1合(180mL)

 ⇒ 炭水化物 9.2g

日本酒(純米酒) 1合(180mL)

 ⇒ 炭水化物 6.5g

白ワイン グラス1杯(60mL)

 ⇒ 炭水化物 1.2g

赤ワイン グラス1杯(60mL)

 ⇒ 炭水化物 0.9g


ビールの代わりにハイボール
ビールが好きな人の中には、ビールの味が好きという場合と、炭酸ののどごしが好きという場合がある。後者の場合、焼酎やウイスキーの炭酸割りでも満足できることもあるので、一度お試しあれ。

蒸留酒

ウイスキー、ジン、ウオッカ、焼酎など穀類が原料のものと、コニャック、カルバドスなど果物が原料のものなどがある。ほぼ炭水化物を含まないので、炭水化物制限中に安心して飲める。

ラム ダブル1杯(60mL)

 ⇒ 炭水化物 0.1g

ジン ダブル1杯(60mL)

 ⇒ 炭水化物 0.1g

焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ

 ⇒ 炭水化物 0.0g


ワインや日本酒は辛口ならOK説も
ワインや日本酒は基本的にはNGだが、辛口のものは血糖値を上昇させないというデータも(灰本クリニック調べ)。ワイン、日本酒愛好家でこれらを断てない場合、少量を取り入れて満足感を得るのも手だ。

*次回はPFCの「F」、「脂肪-Fat-」についてご紹介する。炭水化物制限ダイエットでは意外にも「脂肪は味方」になる。


(取材・文・構成:村山真由美/写真:安田 裕/レシピ考案・料理:金丸絵里加/栄養計算:茂木亜希子[食のスタジオ])

灰本 元さん
灰本クリニック 院長 NPO法人日本ローカーボ食研究会 理事長
灰本 元さん 愛知県がんセンター研究所勤務などを経て、1991年灰本クリニックを開業。2002年より炭水化物制限食による食事療法を行っている。2011年、日本ローカーボ食研究会を設立。
金丸絵里加さん
管理栄養士 料理家
金丸絵里加さん 女子栄養大学食文化栄養学科講師。栄養カウンセリングや病態別メニュー開発などで活躍中。料理初心者でも失敗しない簡単レシピの提案に定評がある。

(出典:日経ヘルス for Men 2012 SUMMER)