日経グッデイ

「日経Goodayウォーキング実践コンペ」連動企画

インターバル速歩で肥満解消、筋力アップ、血圧低下

「普通に歩くだけでは筋力は増えない」との調査結果が

 氏家裕子=ライター

日経Goodayは、9月5日から10月30日にかけて、読者の方々100名にご参加いただくウォーキング実践コンペを開催します。この連動企画では、日々のウォーキングの達成度(歩行距離、早歩き歩数、階段登り歩数)などをランキング形式で毎週ご紹介するとともに、ウォーキングのメソッドやQ&Aもお伝えしていきます。コンペ参加者はもちろん、読者の方々にも意欲的にウォーキングに取り組んでいただき、ダイエットや生活習慣病の予防など健康増進のお手伝いをしたいと考えています。

 日経Goodayの読者100人が参加する「ウォーキング実践コンペ」(最終ページ参照)がいよいよ明日から始まります。この連動企画の前回記事「やせられる歩き方のポイントは「呼吸」「骨盤」「肩甲骨」にあった」では、ウォーキングを通じてダイエットをしたいという多くのコンペ参加者の声に応え、元ショートトラックスピードスケート五輪日本代表で、現在はウォーキング指導員を務める勅使川原郁恵さんに聞いた、ダイエットにつながるウォーキングのポイントをお伝えしました。

インターバル速歩って? どんな効果が期待できる?

 今回の企画では、お仕事などが忙しくてなかなかウォーキングの時間が取れない人でも、短時間で効率的にダイエットなど健康増進の効果が得られるよう、「早歩き」を上手に取り入れることをお勧めしたいと考えています。

 そこで本記事では、信州大学大学院医学系研究科の能勢博教授が提唱する「インターバル速歩」の内容と効果についてお伝えします。このメソッドは、2003年から現在まで同大学が実施した6200人の中高年者を対象とする実証実験によって、肥満解消、筋力アップ、高血糖や高血圧の改善などの効果が得られることが分かっています。

 インターバル速歩とは、ややきついと感じるくらいの「早歩き」と「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に繰り返すウォーキングのことです。「早歩きを行うことによって、運動中のエネルギー消費量が増え、脚などの筋肉を修復・強化する反応が盛んになることで、脂肪の消費量も増えます」と能勢教授。つまり、脚の筋力が高まることによって、ダイエットの効果も出やすくなるということです。

普通歩きは効果が出ず、早歩きだけでも続かない

 ウォーキングの目安として「1日1万歩を目安に」という言葉をよく耳にします。しかし、能勢教授が「なにもしないチーム」「1日1万歩を目標に、普通歩きするチーム」「インターバル速歩チーム」に分けて行ったウォーキングの効果を検証する実験では、「普通歩きチーム」はほとんど脚の筋力に目立った変化はなく、「なにもしないチーム」とほぼ変わらない結果が出ました。一方、インターバル速歩を1日30分、週に4日以上、5カ月間行ったチームは膝を伸ばす筋力が13%、膝を曲げる筋力が17%向上しました。

[画像のクリックで拡大表示]
インターバル速歩と膝の筋力との関係
Nemoto K et al. Mayo Clinic Proceedings,282:803-811.2007 を基に能勢氏が作成

 それでは、ずっと早歩きを続けていれば効果はさらに上がるのでしょうか? 実はそうではなく、ゆっくり歩きを挟むことも大切なポイントの1つなのです。「早歩きだけの指導を長野県の中高年の人に実施したことがありますが、次第に呼吸が苦しくなり膝にも負担がかかるため、ほとんどの人は続けられませんでした」(能勢教授)。ゆっくり歩きの時間に心と体をリフレッシュすることによって、また早歩きを続けることができるそうです。

1日30分、週に4日を目標に!

 インターバル速歩の実践方法について、少し詳しく説明しましょう。

 インターバル速歩を行う時間は、1日30分。ゆっくり歩き(3分)+早歩き(3分)を1セットとして考えて、5セットを目標に始めましょう。この運動を週に4日以上、合計120分以上行うと、効果を実感しやすくなるそうです。

 速歩のスピードについては、「その人の体力や年齢によって変わってきますが、『ややきつい』と感じる程度がよいでしょう」(能勢教授)。2~3分続けたらもうダメだと感じるような運動を100%としたときに、その70~80%相当が「ややきつい」スピードとなります。3~5分歩いたら少し息が弾み、動悸(どうき)がする程度です。誰かと一緒に歩くのならば、会話ができるくらいのペースが一つの目安となります。

 インターバル速歩に初めて挑戦するときは、自分のペースがつかめるようになるまで無理は禁物。慣れるまでは2分ずつのインターバル速歩から始めても大丈夫です。

 インターバル速歩の効果を高めるために能勢教授が推奨するのは、ウォーキングの後でコップ1杯の牛乳を飲むことです。「糖質と乳タンパク質を含む食品の摂取により、筋肉の修復効果が高まり、筋肉量が増えやすくなります」(能勢教授)。運動後30分以内に飲むと、体内で効率的に吸収されるそうです。

 また、運動で最も大切なことは継続することです。そのために、記録を取ることは大きな励みになります。「日々の体重や血圧を記録して残しておけば、効果を認識できて、やる気アップにつながります」(能勢教授)。自動的に歩数や距離が記録される活動量計は、ウォーキングを続けるための原動力になるはずです。

2週間でダイエット効果、5カ月で生活習慣病が改善

 インターバル速歩を続けることで、肥満解消や筋力アップ、高血糖や高血圧の改善などの効果があることは先でご紹介しました。能勢教授による実証実験では、「1週間で汗をかきやすくなる」「2週間で体重の減少を感じる」「3カ月で風邪をひきにくくなる」「5カ月続けると高血圧、高血糖、肥満の症状が20%改善する」といった変化が、データとして報告されています。

 風邪をひきにくくなるのは、「筋肉量が増えてくると、基礎代謝量が上昇して体温が上がり、免疫力が向上し、寒さに強い体になるからです」(能勢教授)。この秋にしっかりウォーキングで脚などの筋肉を鍛えておけば、その後に訪れる冬には、去年と比べて寒さに負けない強い体ができているはずです。

「インターバル速歩」の主な効果
1日目足や下半身がぽかぽかしてすっきり感じる。心地よい疲れを感じる。
1週間汗をかきやすくなり、夏場は体が涼しく感じる。冬場は体が温かく感じ、薄着で過ごせる。
2週間肥満傾向の人は体重が1kg程度減少し始める。
1カ月以前より、歩くのが楽になる。姿勢が良くなったと周囲から言われる。夜間は良く寝られるようになり、昼間の体調も良い。
2カ月体が疲れにくくなり、食事の支度や買い物など、家事のフットワークが軽くなる。
3カ月風邪をひきにくくなる。気が重い日が減る。腰や膝の痛みが取れる。
4カ月顔の肌に張りが出てくる。足やお尻の格好がスマートになる。
5カ月体力測定・健康診断の結果、筋力・持久力が10%向上し、高血圧、高血糖、肥満の症状が20%改善する。
1年旅行、山登りなど、以前は体力に自信がなくて控えていたことにも挑戦したくなる。
2003~2007年に信州大学で行った「インターバル速歩」の実証実験で参加者(約4000人の中高年者)が感じた効果をまとめた。(出展:『いくつになっても自分で歩ける「筋トレ」ウォーキング』(能勢博、青春出版、2015年)

教えて! 勅使川原さん

Q  速歩の正しい歩き方を教えてください。

 速歩の際には、少し大股で歩きましょう。下半身のより多くの筋肉を動かせるからです。

 大股とはどのくらいの歩幅かを知るために、まずは腰に手を当ててみてください。脚の付け根からではなく、手の位置を目印とした腰から下があなたの脚と考えましょう。その意識を持ちながら、いつもより2~3割大きく踏み出します。これが大股の歩幅の目安です。

 そして、おへその下7センチのところにある丹田に力を入れながら、体の軸が真っ直ぐになるように背筋をシャキっと伸ばして歩きましょう。 視線を25mほど先に向けて背筋を伸ばすと、体のバランスが取れて、脚を踏み出すときの体重移動がしやすくなります。足の踵(かかと)から着地して、つま先で地面を蹴る点は普通のウォーキングと同じです。

 腕は肘を曲げて、背中のほうへ引く力を意識してください。ウォーキングは、下半身の動きだけだと思われがちですが、実は下半身と連動した上半身の動きが重要なポイントになります。腰から下が脚という意識と同じように、上半身は肩甲骨から指先まですべてが腕だと考えましょう。

 肩甲骨を起点に速めのピッチで腕を大きく振ると、歩くピッチも速めやすくなります。

速歩の理想的なフォーム
[画像のクリックで拡大表示]
背筋を伸ばし、胸を張って大股で歩くことを意識。肘を曲げて肩甲骨から腕を大きく振ると、スピードを上げやすい。足は踵から着地して、つま先で蹴り上げよう。
勅使川原郁恵(てしがわら いくえ)さん
ウォーキングキャスター
勅使川原郁恵(てしがわら いくえ)さん 1978年生まれ。3歳からスケートを始め、中学2年生でショートトラックスピードスケート五輪強化指定選手となり、1996年世界ジュニア選手権で総合1位。1998年長野五輪、2002年ソルトレイクシティー五輪、2006年トリノ五輪と、オリンピックに3回出場。現役引退後は、スポーツコメンテーターとして活躍。その後は、ウォーキング指導員の資格を取得し、ウォーキングキャスターとしてその魅力を伝える活動をしている。日本ウオーキング協会の親善大使も務めた。
能勢博(のせ ひろし)さん
信州大学大学院医学系研究科 疾患予防医科学系専攻 スポーツ医科学講座 教授
能勢博(のせ ひろし)さん 1979年、京都府立医科大学医学部医学科を卒業後、同大学で助手として第一生理学教室に勤務。85-88年、米Yale大学医学部へ博士研究員として留学。93年、京都府立医科大学で助教授。95年、信州大学医学部附属加齢適応研究センター・スポーツ医学分野 教授。2004年、NPO法人・熟年体育大学リサーチセンターを設立し、理事長に就任。2006-2007年、厚生労働省「運動所要量・運動指針の策定検討会」の委員に就任。主な著書に『「歩き方を変える」だけで10歳若返る』(主婦と生活社)、『「寝たきり」が嫌ならこのウォーキングに変えなさい』(朝日新聞出版)など。
日経Gooday ウォーキング実践コンペ 開催概要
■日程:2015年9月5日(土)~10月30日(金)
■ウォーキングコース:特に指定なし
■歩数などのデータ測定・送信方法:
 日経Goodayが提供した活動量計「HJA-400」(オムロン ヘルスケア製)や参加者が所有する測定機器を使って測った歩数、体重などのデータ(毎週土曜から翌週金曜までの1週間分の累計データ)を、所定のデータ入力フォームを使って、翌土・日曜に送信。
■参加者のランキング情報:
・歩行距離、早歩き時間、階段登り歩数や、体重、体脂肪率、血圧、血糖値といった健康改善度を示す指標などにより順位付けしたランキング表を、毎週公開する記事の中で掲載。
・ランキング表は、年代別、性別、職種別、役職別などによる絞り込みが可能。
■賞品
・皆勤賞:コンペ開催期間の間、週1回(毎週土曜日)のデータ入力を継続できた方には「スマートフォンが使えるウォーキング用手袋」を贈呈。
・精勤賞:コンペ開催期間の間、週1回(毎週土曜日)のデータ入力を6回以上達成できた方には「ウォーキングに最適な5本指ソックス」を贈呈(皆勤賞の方は対象外)。
・ピッタリ賞:本コンペにご参加いただく勅使川原郁恵さんと、当該週の歩数が同じだった方には、勅使川原さんがプロデュースした、吸水性に優れる今治フェイスタオルを贈呈します。
・ニアピン賞:該当週の歩数が、勅使川原郁恵さんの歩数と10歩以内の差だった方には、勅使川原さんがプロデュースした、吸水性に優れる今治ウォッシュタオルを贈呈。