正解は、(3)食後すぐ左側を下にして寝ると逆流が起きやすくなる です。
胸やけや胃もたれをもたらす逆流性食道炎
逆流性食道炎に詳しい、国立国際医療研究センター病院・消化器内科診療科長の秋山純一さんは、「逆流性食道炎は、胃食道逆流症(GERD)という胃液や胃の中のものが食道に逆流する病気の1つ。主な症状として、みぞおちの上が焼けるように痛くなる胸やけ、酸っぱいものが口にこみ上げる呑酸(どんさん)、げっぷ、胃もたれなどが挙げられます」と解説します。
胃酸や胃の内容物が逆流することで食道に炎症が起きるわけですが、その逆流はどのようにして起きるのでしょうか。
「胃酸や胃の内容物の逆流が起こるのは、胃と食道の間の『噴門部』にあって、逆流を防止するバルブのような働きをする『括約筋』の機能低下が主な原因です。この部分を、『下部食道括約筋(LES)』といいます。一般的に、食べ物が入ってくると噴門が開き、それ以外は閉じているので、胃酸や胃の内容物が逆流することはありません。しかしさまざまな原因で括約筋の動きが鈍くなると、逆流が起こります」(秋山さん)
そして、括約筋の動きが鈍くなる原因の1つが、「食べ過ぎ」です。「食べ過ぎると、胃の中の圧力が上がり、下部食道括約筋が緩み、それによってげっぷが出ます。その際に空気と一緒に胃酸などが逆流するのです。これを『一過性LES弛緩』といいます」(秋山さん)
秋山さんは「特に脂っこい食事が好きな人は注意が必要」と付け加えます。「脂っこい食事をすると、消化を助けるために胆汁の分泌を促進させるコレシストキニン(CCK)というホルモンが分泌されます。このホルモンに下部食道括約筋を緩める作用があるのです」(秋山さん)
そのほか、アルコールも逆流性食道炎の原因になるという。「アルコールそのものに下部食道括約筋を弛緩させる作用があるといわれています。特に、ビールやスパークリングワイン、ハイボールのような炭酸を含んだアルコールは、胃が膨らみ、げっぷが出やすくなるので要注意。また、柑橘類や酸っぱい果物なども、胃酸の分泌を増やすため逆流の原因になります。したがって炭酸水とレモンを使ったレモンサワーは好ましくないということになります」(秋山さん)
さらに、「飲んですぐ寝てしまう人」は気を付けたほうがよさそうです。「お酒を飲んで、いい気持ちになると、すぐ横になる人も少なくないと思いますが、これもまた逆流が起きる一因になります。特に、右側を下にして横になる『右側臥位(そくがい)』は逆流が起こりやすくなるといわれています」(秋山さん)

げっぷを誘発する炭酸系のお酒を飲み、下部食道括約筋を弛緩させる脂っこいおつまみを食べ、酔っぱらって右側臥位で寝るとトリプルでダメージがあるということになります。
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